2025年3月21日金曜日

よみがえりました


2年ほど前に、引き出しを開けたらのし杓子が欠けていました。何らかの拍子に引っ掛かっていたものを無理やり開けようとして、欠いてしまっていたのかもしれません。
すごく残念でしたが、お隣のくみさんに修理をお願いするのは気が引けました。というのは、それまでに何度もなおしていただいたのですが、お隣のよしみで修理代を取っていただけなかったからです。
匙だけでなく、割れた器もなおしていただいていました。


これがくみさんに直していただいた匙です。


三谷龍二さんの匙でとても薄くできているものを、1つは幼児がかじり、1つは夫が割りました。遊びに来ていた幼児がかじった匙はくみさんから、
「漆で仕上げますか?」
とたずねられたのに、最初の雰囲気をそのままにしたくて漆を塗らないでなおしていただきました。しかし、2本目のときは大きく欠けてしまったこともあって、漆仕上げにしてもらいました。漆仕上げの匙は、それはそれでとても素敵になりました。    
あれから、かれこれ15年、いやもっと経ったかもしれません。無傷の匙に交じって、修理していただいた匙は、相変わらず活躍しています。
でも、くみさんに修理をお願いしても、きっとまた修理代は受け取ってくれないだろうと悩み、のし杓子は割れたまま2年くらい引き出しの中にありました。

今年の1月にFacebookを見ていて、神奈川県にお住いのあつこさんが、匙を修理してもらったと写真をUPしているのを見かけました。普段あまりFBは見ないので偶然でしたが、のし杓子のことを思い出し、どこで修理していただいたのかあつこさんに訊いてみました。するとその匙はあつこさんが匙づくりの教室でご自分でつくられたもので、教室の先生は生徒さんの匙なら無償で修理してくださるけれどほかの匙は修理しないとのこと、しかし、ダメもとで訊いてみてあげるとお返事をいただき、それからとんとん拍子で、匙をつくられているなつみさんを紹介していただきました。


その、なつみさんが修理してくださったのし杓子が、昨日送られてきました。どこが割れていたのかわからないほどの仕上がりです。


包み紙には、修理に使った接着材料が書かれていて、全体にくるみ油を塗ってくださったとのこと、のし杓子は以前より素敵になっていました。


メールで、なつみさんのお手元に届いたときの写真と、


修理中の写真数枚も送ってくださいました。
欠けたピースとピースをまずつなぎ、それを本体に接着してくれています。


これで、新子薫さんののし杓子が1本、この世から消えないですみました。
無傷ののし杓子と並べると、修理していただいたものの方が艶があってきれい、これからどっちを手に取るか、使うたびに悩みそうです。


大切な器や匙を壊してしまうのはいけないことですが、焼きものにしろ木の匙にしろ、壊れてないときと同様か、さらに素敵になって返って来た時の嬉しさは格別で、使うたびにさらに嬉しい気持ちが増していきます。
くみさん、なつみさん、本当にありがとうございました。おかげさまで私の生活はとても豊かです。






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