2016年4月3日日曜日
壁づくり
壁づくりは、まず貫(ぬき)や間柱を整えます。
板張りの壁は板を張ってそのままですが、しっくいの外壁は、まずしっくい壁の下地であるラスカット(モルタル下地材)を張ります。
東側の壁は、梁で三段に分かれていますが、まだ下地を張っていない一番下は、地面に近いことから、汚れないようしっくいではない壁を考えています。
外から見たところです。
ときどき、
「しっくい壁の下地をどうして竹小舞(たけこまい)にしないのですか?」
と訊かれることがあります。竹小舞とは、竹を縦横に組み、荒縄を巻きつけてそれにスサを混ぜ込んだ土を塗って下地をつくる方法です。
訊かれても、なんとも.....。
八郷に土地を探しはじめたとき、住むための家を自分たちでつくろうと考えていました。
ところが、今の土地に出逢って、土地の持つ力に背中を押されて、家は当初考えたより、どんどん大きくなってしまいました。土地の力に応える、いい空間をつくりたいと思ったからでした。
できるだけ自然素材を使い、地産地消も心がけていますが、何もかも昔の材料や方法でやろうとしているわけではありません。素材をそのまま活かすことが美しいことと、真壁構造にしていますが、下地に竹小舞を使うほど、粋な気持ちでつくっているわけではないのです。
もちろんガラスもコンクリートも使っていて、昔の家を再現しているのではなくて、現代の家をつくっています。
これは軒下からの写真で、下屋(二段になっている屋根のうち下の屋根)の下には細い壁があり、その下が開口部になっていて、戸がつきます。
下屋から上はしっくい壁ですが、下は板壁にしました。
板壁用の材(床材の転用)は、厚さ15ミリと薄いので軽く、板壁張りは楽そうに見えますが、そうでもありません。
極細のねじ釘の頭が小さく、インパクトドライバーのビットをねじ釘と一直線になるように心がけても、ビットがねじ釘の頭から浮きやすく、渾身の力を込めて押さなくてはならないので、日常的に痛い腕の筋肉が、パンパンに張ってしまいます。
間柱を立てるには、ほぞを開けたりするために、ノミを使わなくてはなりません。見切り板をつけるためには、重い材を持って、鉋も使わなくてはなりません。
比較的楽なラスカット張りは、屋根に乗って仕事をしなくてはならず、上って寸法を測って降りて、材を切って上ってあててみて、合わなかったらまた持って降りて切って上ってと、 何度も斜めの瓦の上を歩かなくてはなりません。
なかなか、身体に優しい、体力を使わなくてもできる作業はないものです。
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