2011年6月11日土曜日

ボビンレース



手仕事はそう苦にせず、どちらかといえば、なんでもやってみたい方ですが、ボビンレースだけは、やってみたいと思ったことがありません。
人間業ではないというか、完成させるほどの根気は、どう考えても持ち合わせていないと、やるまえから、完全にあきらめています。




ヨーロッパで昔、盛んにボビンレースの襟などがつくられていたのは知られていますが、南米で、今でもつくられているのは、あまり知られていません。
写真は、『FOLK ART OF THE AMERICAS』に載っていたもので、生計の足しにしようと、僅かな光のなかでボビンレースを編んでいる、ブラジルの女性です。




クッションに針で糸を固定させ、形を定めながら、編みあがるたびに針を打ち足し、ボビンを複雑に動かしながら、編んでいきます。




その、ブラジルのボビンレースです。
以前住んでいたところで親しくしていた、Eさんにいただきました。
Eさんは、しばらくブラジルなど南米に住んでいらっしゃったので、いろいろな手工芸品をお持ちでしたが、お隣に住んでいて行き来するうちに、私が「手仕事好き」なのを知って、くださったものです。




気の遠くなるような、細かい作業です。




このボビンレースは、ちょうど入る大きさの額縁を見つけたこともあって、長い間、仏さまの光背として飾っていました。
今は、別々に飾っています。




ボビンレースを編むボビンは、上の写真でブラジルの女性が使っているような、下膨れになって重さを持たせたものが、ヨーロッパ大陸各地でも使われています。
しかし、イギリスでは違う形のボビンが使われてきました。イギリスのボビンは、ほぼ真っ直ぐで、下に重しのビーズがついています。




イギリスのボビンには、それぞれ、細かい装飾が施されています。
ビーズがついていると、糸に絡まったりしてたいへんだったのではないかと、他人事ながら心配してしまいますが、そんなことはなかったのでしょう。




ビーズはとてもきれいです。




他のものもそうですが、ボビンレースを見ていると、簡単に「日本人は手先が器用だ」と言ったり、信じたりしている人の気がしれなくなります。

どこの国にも、どこの地域にも、素晴らしい感性と技術が、脈々と受け継がれています。


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