2011年6月17日金曜日

マタタビの籠



マタタビの籠を、初めて見たのは、山形のTさんの家ででした。
15年以上前でしょうか、山形のお百姓さんのグループと、タイやフィリピンのお百姓さんのグループが長年交流していて、タイの方たちが来日したとき同行させていただきました。一行は何軒かに分宿、私と元同僚のYさんは、Tさんの家に泊めていただきました。

とても楽しい滞在でした。
Tさんが小さい頃は、冬の間じゅう道に雪が残っていて、町まで出かけようと思ったら、腰まで埋まりながら歩いて行くしかなかった、などというお話も興味深いものでしたが、私のことですから、一番印象に残ったのは、なんといってもTさんの家にあったマタタビの籠でした。
亡くなったおじいさんの手づくりという、黄色味をおびた、美しい腰籠でした。

そのときまで、マタタビの名前は知っていても、マタタビは見たことがないし、マタタビで籠がつくれることも知りませんでした。




それから何年かたって、雑誌『季刊銀花』(昨年廃刊)で、福島県三島町でマタタビの籠がつくられていることを知りました。会津方面に行く機会があったときに、ちょっと足を伸ばして三島町を訪ねてみました。
籠づくりは冬の作業とか、そのときは季節外れだったため、町のどこにも籠がありません。やっと、つくっている方の自宅を訪ねあて、「新品ではない、使っているものだ」という自家用の笊を、無理やりのようにして譲っていただいてきました。

それがこの薄い笊です。
以後、うどんやそばを盛ったり、天ぷらを盛ったりと大活躍、すっかり貫禄がつきました。




マタタビはラタンに似ていますが、ラタンよりしなやかで、籠が柔らかくしなります。足の部分は特別に補強されていませんが、竹に比べて磨り減り方が少なく、折れもせず、丈夫なような気がします。
ただ、乾燥を心がけていますが、裏は真っ黒になっています。
竹より黒くなりやすいでしょうか。




三島町では、毎年3月31日に、手仕事祭りを催し、マタタビやアケビなどの籠の市を開きます。五年ほど前、市に行ってみると、先回訪ねたときとは打って変わって、籠、籠、そして大勢の人でした。
三島町の手仕事だけでなく、他の地域からの竹籠なども集まり、雪が舞っているというのに、大賑わいでした。

そのとき買った米あげ籠です。

マタタビの籠は、縁の作り方が素敵です。上の笊は、縁に回した芯(マタタビの枝?)が見えないように巻いてありますが、下の籠は芯を見せています。どちらも素敵です。







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