冬に、若いカップルが数日泊ったことがありました。
男性は、かつて被災地でボランティアをするために成田から歩いて宮城県まで行ったり、我が家からの帰りにも9キロ離れた駅まで歩いたりする、ちょっと変わりもののイタリア系オーストラリア人でしたが、 帰るときに、お風呂掃除をさせて欲しいと言われました。
「いらない」
と固辞したのですが、
「せめてものお礼に、ぜひ掃除させてほしい。それがぼくの流儀」
と熱心に喰い下がられ、仕方なく掃除してもらいました。
帰ってしまってから、お風呂だけでなく、お手洗いも掃除して行ったことがわかりました。というのは、トイレットペーパーのセットの仕方が違っていたからです。
我が家のトイレットペーパーは、ホルダーにカッターがついていないので、紙が下から出て来るようにセットしてあります。それを、彼はわざわざ上から出るように向きを変え、しかも端を三角に折ってくれていました。
「余計なお世話よね!」
彼は親切でやってくれたのだと思いますが、まるで、トイレットペーパーのセット仕方を知らないので、教えてあげると言わんばかりです。
我が家では、カッターのない古いホルダーをずっと使っています。最初は、上から紙が出るようにもやってみたこともありますが、下から出る方が具合がいいとわかってから、いつも下から出るようにセットしています。
私は、もう目の前にはいない人でしたが、苦笑しただけでなく、へそも曲げてしまいました。今度、遊びに来たいと言われたら、断ってしまうかもしれません。彼としては親切ごころでしたが、あだになりました。気の回し方もほどほどにしないと。難しいものです。
さて先日、息子といっしょにたくさんで来ていたお嬢さんたちの誰かが、トイレットペーパーを使い切って、新しいのをセットしてくれていました。
上から出てくるようにセットされていましたが、これは他意があるものではなさそうです。別に気にもなりませんでした。
そのままで使ってみて、上から出て来てもさして不便はしないなとは思いましたが、彼女たちが帰ってから、やっぱり向きを変えました。
『がらくた道楽』(林丈二著、小学館、1994年)という本があります。
著者の林丈二さんは路上観察家で、雑誌『サライ』に連載されたものをまとめた本ですが、氷削機とか、捕鼠器とか、耳かき、涼風機など、ちょっと昔のいろいろおもしろいものについて書かれています。
最近、さがしものをしていてこの本を見つけ、ぱらぱらとめくってみたら、大便用紙巻器というのが載っていました。
大きな写真は、著者の林丈二さんの家で使われているヨーロッパの古いペーパーホルダーだそうです。やはり下から紙が出てくるようにセットされています。おまけに、
「カッターがないのでこのようにセットしてある」
と、キャプションまでついていました。
「やっぱりね」
もっとも、下に見える写真の、日本製の大便用紙巻器の広告のイラストでは、紙が上から出るように描いてあります。
この本には、フランスの古い絵はがきの写真も載っていました。
なんと、大胆な!
お手洗いに座っている写真の絵はがきがあったのです。もしかして、当時はトイレが珍しくて、みんなは道端で用を足していたとか?こんなお手洗いはとってもおしゃれだったのでしょうか?
もちろん、紙は下から出るようにセットされています。
2 件のコメント:
この写真いいですね、
一瞬ミュシャのモデルかと思いました。
(笑い)
昭ちゃん
あはは、おかしいでしょう。こんな絵葉書を、誰が誰に送ったのかしら?男性が女性に送ったらおかしいし、女性が男性に送ったらもっとおかしいし(笑)。
最近はスカートを履くことが少なくなりましたが、こう見るとスカートはなんでも隠して便利ですね(笑)。
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