鉤針編みで小さな四角のモチーフをつくり、それをつないだブランケットを、一度はつくってみたいと、前々から思っていました。
でも、この数年、編みものの完成率は0%です。夫のセーター、自分のマフラー、人形のセーターなどなど、どれも途中で挫折しています。
途中で挫折した編みものほど始末の悪いものはありません。そのときの手の力の入れ具合がありますから、数年後に再開しても、決して同じ大きさの編み目のものができないのです。
夫のセーターを編みはじめるときも、もしかしたら完成しないかもしれないという不安があり、安い毛糸を買いました。
安売りの糸だから、選べません。許容範囲の色と手触りの糸で編んでいるうちにどんどん愛着が薄れ、しかも、小さいかもしれないのに編み直す気力がなくて、お定まりの「途中やめ」コースをたどることになりました。
鉤針編みのブランケットも、編む前から腰が引けています。編んでみたいのだけれど、どうしても必要なものではないし、高い毛糸を買っても、でき上がるとは限らないしと。
で、編むなら、昔母が編んでくれたスカートを解いて使おうと思っていました。
もう二年半も前になりますが、母が我が家に逗留したとき、このスカートを母に解いてもらおうと、待ち構えていました。
ところがその時は妹のもんぺを縫うことになり、母の関心はもんぺ以外にはありませんでした。というわけで、毛糸のスカートは相変わらず戸棚の中でした。
このところ、雨が続きました。
家の中でぶらぶらしていてもと、あのスカートを解くことにしました。お揃いのセーターもあるのですが、それはどこへしまったやら、もう何年も見ていません。
既成品と違って、手編み(手編み機編み)のものは何度でも編みなおしができます。
編んだのと逆にたどっていけばいいのです。といっても、手がだるくなるほど動かしました。
もっとも、解くより編む方がもっと大変ですが。
無地から模様編みのところまで来ると、糸がこんがらがってしまい、解くスピードが一気に落ちました。
四枚はぎですが、半日ほどかかって解けたのは半分でした。
解いた糸はちりちりに縮れています。
そこはそれ、以前骨董市で見つけた湯伸し器があります。
ぱかっと口を開け、毛糸を通します。
お湯を沸かし、湯伸し器をやかんの口にかぶせて、引っ張ります。
両手を休めることがないくらいのスピードで毛糸をたぐっていくと、湯気で毛糸が伸びます。
こんなに縮れていたのが、
こんなにまっすぐになりました。
これを「かせ」にしてお湯に浸し、錘をつけて干せばもっと伸びますが、その必要もありません。
あとは、籠に入れたままにしておいて猫にひっかきまわされないように、玉巻き器で玉にしたらできあがりです。
この玉巻き器は、ちっとも素敵じゃありませんが、なかなかの優れものです。
このスカートに、以前、籠を買ったらついてきた毛糸も合わせて編むつもりですが、完成するでしょうか?
手持ちの糸で編むので、色は最初から決まっていますが、モチーフのつくり方でまったく違うものができます。色づかいにある程度原則を持たせるのか、まったくのアトランダムに編むのか、とにかく、我ながら途中で投げ出さないことを願うばかりです。
4 件のコメント:
わー 懐かしいポスターですねー
戦前の冬の生活と母の姿がラップします。
私は火鉢の前で通る毛糸を眺めていました。
ポスターの絵のやかん(上部)は外が青く中がホーロー引きの白です。
化粧するでなく・遊びにいくでなく・
所帯に浸かっていた母に感謝しています。
昭ちゃん
写真の撮り方が悪かったけれど、ポスターではなくて、湯伸し器の入れてある箱です。
やかんにつける湯伸し器は本当に優れもの、私の母もよく使っていました。カセにして洗うなんて大ごとですものね。しかもちりちりの毛糸を。でも、私の祖母はこんな便利なものを持っていなくて、しかも毛糸をカセにする道具もなかったので、自分の投げ出した足や、子ども(孫)の腕にひっかけて、カセをつくっていました。
やかんは、ホーローじゃなくて、黄色っぽいアルマイトでした♪
あー、懐かしい、母がよく使っていました。「湯伸し器」って名前なのですね。昔自分たちが着ていたのは機械編みのセーターで、しかも洗濯をしていたので、ほどいたらちりちりで、そのちりちりの写真も懐かしいです。
私は湯伸し器を持っていないので、かせにしてお湯で洗って干します。かせを作る道具も、玉巻きの道具もないので、ずいぶん時間がかかります。
かぎ針編みのモチーフのブランケットやマフラー、ショールは憧れますが、一つ一つ作っては糸を切るのに抵抗があり、その点古い再生毛糸だと、多少気楽にはなりますね。
新しい毛糸を使って一つずつ糸を切るというのがなかなかできないのです(^^;)。貧乏性です。
karatさん
何年か前に骨董市で湯伸し器を見つけた時は、にやりとしてしまいました。反物を洗ったときに使う伸子を見つけた時も喜びました。こちらは、使いそうにありませんが。なんか、そんなものたちを見ていると、昔の生活を思い出すだけでなく、忙しく立ち働いていた祖母や母の姿まで思い出してしまいます。
私も新しい糸でモチーフづくりというのはできないでしょうね。せっかく手間暇かけるなら(まだかけていませんが、笑)撚りの甘い「中細」糸を使うより、新しくて色も質感も気に入った糸を使ってつくれば、気持ちがはかどるとは思いますが。
小学生のころ、いかにも残り糸を使ったという縞々のセーターを着ている子たちがいました。昔の人は、毛糸でもだんだん濃く染めていったから、汚い色ばかりで(笑)。見映えはしないけれど、きっと暖かかったことでしょう。
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