2018年12月5日水曜日

熊手

埼玉県上尾の熊手づくりの動画を見る機会がありました。

このところ、毎日熊手を使う生活です。
数あった熊手も壊れたり擦り減ったりと、扱いにくさが増していた矢先にこの動画を見て、上尾の熊手がすっかり気に入ってしまいました。
この近くでも手づくりの熊手を売っていますが、ちょっと大きすぎて、重すぎるのです。
これまで何年も、とっかえひっかえ使ってきた中国製の、手先が細い熊手は傷みやすく、擦り減ったり、曲げたところが伸びたり、折れたりすると、腕に負担をかけてしまいます。かといって、太いのはやっぱり重すぎます。

「そうだ、上尾まで熊手を買いに行こう!」
行く前にと、ネットで行く先を探しましたがなかなか見つかりません。
しかたなく、動画をつくった上尾市に電話してみました。すると、動画は十年前に撮ったもの、竹細工師の鴨田安五郎さんは、すでにお亡くなりになって、上尾の竹細工は途絶えてしまったとのことでした。
「途絶えそうだったから、動画に残したのです」
とのことですが、なんてこと、途絶えそうだったら技術保存グループを結成したりして、伝承して欲しかった。このご時世ですから、きっと興味を示される方も複数いらっしゃったと思われるのに、残念でした。

一度燃え上がった私の熊手熱はなかなか沈火せず、とうとうネットで注文しました。ここに来てからは安い中国製の熊手ばかり、日本製の熊手を手にするのは、何十年ぶりでしょうか?

熊手が届きました。
その竹細工屋さんは決して産地やつくり手を明かさないので、どこでつくられたものかわかりませんが、柄が虎斑竹なので、高知でつくられたものかもしれません。
  

上尾の熊手とは、つくり方が違います。
上尾の熊手は、横に留めてある竹(かんざし)を針金ではなく紐(小出縄)で留めています。つまり、かんざしの場所で、小出縄の太さが手と手の間隔を決定します。


そして、各手のつけ根(あぐ)を、この熊手は重ね合わせていますが、上尾の熊手は先を細く削って、平面に突き合わせて、畳み糸で縛り、横から穴を開けてそこにくぎを刺しています。
つまり、かんざしとあぐだけで手が固定されます。


ところが、この熊手も含めて普通の熊手は、あぐもかんざしも手と手の間隔をしっかり固定するための働きをまったくしないので、こうして針金で、しかも二か所も固定しておかなくては、手が動いてしまうのです。
あぁぁ、上尾の熊手と出逢いたかったです。


この熊手も、使いやすそうではありますが、上尾の熊手の美しさがなかなか忘れられません。





2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

熊手の使い心地如何ですか
Utubeの熊手の動画を見て シンプルな美しさが ここの物とは違うようです
鴨田さんがH24に亡くなられた事 残念ですね

さんのコメント...

Anonymousさん
熊手の使い勝手は、まあ上々の部類ですが、上尾の熊手、使ってみたかったです。
最近はホームセンターでも10年ほど前よりしっかりしたものが売られるようになりました。もちろん、手先の方を針金で固定したものばかりです。
かんざしだけで手先を針金で固定していない熊手は上尾だけだったのか、あるいはほかの地域にもあったのか、今となっては不明ですが、低い生け垣の中とかしっかり掃除できるのではないかと想像します。
ちなみに、そんなところを掃除するためには、私は手くらいの大きさの小さな熊手を使っています。