2018年12月11日火曜日

ハラ騒動

真夜中、ぐっすり眠っていたらトラの尖ったうなり声で目が覚めました。
続いて「ばたん」という音、犬猫出入り口を駆け抜けて、扉が閉まる音だったのでしょうか。私は明かりをつけ、ベッドから身を起こしました。
「わあっ、床が濡れてるぞ!」
今度は居間の方から歩いてきた夫の声、起きてライトで照らしてみたら、確かに床に水がたまっています。トイレットペーパーで拭いてにおいを嗅いでみたら猫のおしっこの臭いが。よその猫が侵入したため、小心者のトラが恐怖で漏らしたようでした。
時計を見ると夜中の1時半、やれやれ、おしっこをトイレットペーパーと雑巾できれいにふき取って、夫は足を洗って一件落着、寝なおそうとしたら、居間の方で「かたっ」と音がしました。トラも耳をそばだてています。

なんだ?
一件落着していなかったのです。居間に行って電気をつけて見ると、真っ黒な猫、ハラがいました。
我が家には、犬猫の出入り口が寝室と居間の二か所にあります。犬がいなくなってから、よその猫(ハラともう1匹)が勝手に入るようになってしまったので、夜は居間の猫出入り口は、その前に箱を置いて閉めています。
しかし、寝室の出入り口の方は、外出するとき以外は閉めません。寝室の入り口から入ると、居間への廊下は細いし、逃げ道がないので、家に人がいるときはよその猫は入っては来ないと思っていました。

でも、その夜ハラは、寝室にある入り口から、私たちが眠っているものと、大胆に入ってきたのでした。
ところが、目を覚ましていた夫とすれ違い、私まで起きてしまったので、引き返せないと居間の出入り口を目指したのでしょう。
そして、そこが閉まっていたので進退窮まっていたのでした。

右の部分が開いていた

ライトを照らした私たちに見られ、行き場を失ったハラは(掘りごたつ式の)テーブルの下に入り、そこに隙間を見つけて、床下に入ってしまいました。
我が家の床下は、OMソーラーで蓄熱版であるコンクリートを温めるため、ずっとつながっています。居間のテーブル下では、電気のコンセントやガス栓のあるその部分だけ、閉じないで小さな穴が開いたままでした。小さな穴ですから、我が家の犬猫がその穴に入ったことは一度もなかった、よもやよその猫が床下に入るとは思いもしませんでした。
幸い、食堂と台所の間で、床下の間仕切り扉を閉めていたので、ハラが寝室の方までは行けないことがわかりましたが、追い出すことはできません。
夜は更けているし、トラもいるので、その夜はテーブルを伏せてハラを床下に閉じ込めたかたちで眠りました。

朝一番に、飼い主のKさんに電話しました。
ハラを簡単に床下から呼び出してもらえると思ったのです。ところがKさんは、一人暮らしのお父上の世話をしに、和歌山に向かっている途中とのこと、これから2週間も帰らないと言います。
しかも、Kさんと家をシェアしているJさんはその日は早番で、もう出勤してしまっていました。Jさんが帰宅したら来てくれることになりましたが、それまで私たちもトラも落ち着きません。
なんとかハラを追い出せないものか、別の場所から狭い床下に潜ってもみましたが、行けるところは限られていました。居間は、食堂より30センチ下がっているのですが、床下も低くなっていて、猫は潜れても、人間は潜れません。


私は、ハラは入った穴から出られると請け負ったのですが、夫は早く出して来てほしいと、あちこちの板を外したり、引き出しを抜いたりして出やすくしました。


テーブルの下には、囲炉裏の灰箱の引き出しまで収まっている、一回使った切り、足が痛いからと全く使われていないものです。

ハラは鳴き声はおろか、音も立てません。


夜になって、やっとJさんがきてくれました。
「ハーちゃん」
と優しく声をかけると、
「ニャー」
とは鳴きますが、なかなか出てこなかった、でもついに出てきました。なんと、18時間も、床下に潜んでいたのでした。

これで、床下に猫のミイラが転がることがなくなりました。私は安堵の胸をなでおろしましたが、夫は胸中穏やかではありません。寝てるのをいいことに入ってきた、つまりトラだけでなく自分もハラになめられたと怒っているのです。
「もう、当分はこないでしょうよ」
「いやぁ、あのくらいでは懲りてないよ」


ハラがトラを一方的にいじめなかったら、私たちも歓迎するのですが、ハラはいつもトラを攻撃します。これまでトラは、ハラにやられた傷を、3度も縫ってもらいました。15歳というトラの年を考えると、もう傷つけられたくないと思ってしまいます。
Kさん、もしこれを読んでも気にしないで、Kさんが悪いんじゃない、めぐりあわせです。

ともあれ、やっとトラと私たちに日常が戻ってきました。床下に猫が潜んでいない生活というものは、とっても快適です。








8 件のコメント:

hiyoco さんのコメント...

大変でしたねー。ハラが床下を気に入っていなければいいのですが。
ペット用のドアは自分ちの犬や猫が出入りすることは想像しますが、他の動物も入ってこれちゃうんですね~。

さんのコメント...

hiyocoさん
奇しくもkさんが家を建てるとき猫出入り口をつけることを勧めたら、知り合いがよその猫に入られて困っているので自分はつけないと言っていたのを思い出します(笑)。
ハラは長時間飲まず食わず、トイレもせず、大変だったと思いますよ。まさか気に行ったとは思えませんが、実は気に入っていて、また来られたら大変ですね。
我が家に遊びに来る、小さい犬どもを入らせようとやってみたことがありますが、犬は猫より臆病なのか絶対入れません(笑)。

af さんのコメント...

『ハラの大冒険』
はらはら、どきどき、読みました。
みんな、今晩はゆっくりと眠れますね。

昔、実家で猫を飼ってましたが、犬と違って学習しない気がしてます。
ので、『続・ハラの大冒険』もありそうです!(笑)

さんのコメント...

Akemi Fujimaさん
冗談はよしこさん、二度と床下には潜って欲しくないです(笑)。
電気のコンセントやら、ガス栓などそこにあるのですが、今度板で覆いたいと思っています。まぁ、のど元過ぎればで、テーブルを動かすのが面倒とかいろいろありますが、ここの穴さえふさいでおけば、部屋に入ることがあったとしても床下には潜めなくなります。
私も、偵察するために床下を変な姿勢で這ったので、肩が痛いです(笑)。

かねぽん さんのコメント...

こんばんは。
偶然ですが今日我が家にも他所の猫が不法侵入しました。うちの歯が無いメス猫が物凄い剣幕で怒っていたので気がつきました。なぜかオス猫たちは知らんぷりをしてました。

af さんのコメント...
このコメントは投稿者によって削除されました。
af さんのコメント...

失礼しました。肩、お大事にしてください。
あと先生が舐められたと怒ったというくだり、くすっとしてしまいました。トラに何も長くて良かったです。大事に至らないうちにハラとの平和解決の手段を思案されたと思われます。なので後報を楽しみにしてます。

それにしてもあそこに、あんな大きな灰箱が隠れていたとは!そろそろ落日荘マニアを名乗ろうかと思っていたのですが、まだまだですね笑

さんのコメント...

かねぽんさん
今朝になって推理が進みましたが、ハラはおしっこに出たトラを見つけて、逃げるトラを追いかけていて同時に入ってきたのかもしれません。
だとすると、我々をなめて不法侵入したのではなく、ドアの前で止まらなかった(以前は止まっていた)のでしょう。ハラの名誉のためにちょっと修正しておきます。
でも、名誉と言っても外でトラを見かけると追いかけるという行為そのものがいかがと思いますが(笑)。