2021年9月7日火曜日

しもの話

9月4日の『東京新聞』に、「日本うんこ文化学会」が設立されたとの記事がありました。
排泄を考えること、身体の中に栄養を取り入れることも大切だけど、老廃物をどうやって外に出すかの方が大切だということ、日ごろから感じてはいますが、正面切って排泄の話を普通に話せるかというと、ちょっと抵抗があるものです。
げんに、「日本うんこ文化学会」も、社団法人設立の手続きで法務省や銀行に行ったとき、窓口で「日本うんこ文化学会さま」と連呼され、面はゆい思いをされています。


さてその昔、おとなしやかな友人がFacebookに、人は1日にバナナ2本分のうんこを排泄するのが健康という記事を載せていました。
以後、
「あっ、今日はバナナ1本半分しかないか」
など、私の生活にとても役に立っているのですが、彼女のことも思い出してしまいます。
それ以前も以後も、彼女はいとも優雅な記事しか書いてないのですが、たった一つの記事は、それほど強烈でした。ひるがえって、自分ではこんな話題は、絶対避けようと、誓ったものでした。

ところが、「日本うんこ文化学会」の設立を知って、私には、彼らが聞いたら非常に興味を持つだろうという話題を持っていることに思い至りました。珍しい経験ですから、やっぱり書くことにします。

約2か月前の7月6日、私は屋根から滑って落ちて気を失い、気がついても起きることもできず、約1時間後に発見されて救急車とドクターヘリで病院に運ばれました。肋骨が11本折れ、背骨も損傷している(あとで鎖骨も折れていたとわかった)ことがわかり、即入院しました。
ただちにコルセットを着け、痛みで寝返りもできない状態だったので、当分仰向けに寝たままの絶対安静かと覚悟しました。ベットに寝たきりとなれば、お小水は管をつけて排泄できますが、大便は、誰かの手を煩わせなくてはならないし、自分でも不快で厄介なことになります。
ところが最近は、骨が折れても動ける範囲で動く方が筋肉を衰えさせないことがわかり、骨の接合が動くことによって少し遅れたとしても、長い目で見れば具合がいいとの説明があり、入院1日目から、ベッドからは(自力で起きられないので)起こしてもらい、車椅子に乗ったり、点滴台を押しての介助つきでしたが、お手洗いに行くことができました。
身体が痛くて、夜も眠れなかったのに、これは嬉しいことでした。

不思議なのは、入院した次の日から、尿意と同じくらいの頻度で便意を感じるようになったことでした。では下痢をしているかと言えば、ちょっと下痢気味だったのは3日目だったか、1日だけでした。

最初の数日は、お手洗いに行くたびに、つき添いの看護師さんに大か小かを訊かれました。4日目に救命病棟から一般病棟に移ってからは、自分だけでお手洗いに行けるようになったので、毎朝看護師さんの見回りのとき、過去24時間のうちお手洗いに何回行って、そのうちの何回が大だったかを訊かれました。
1日に、約10回お手洗いに行くのですが、うち半分は大でした。入院した日は絶食、2日目から食事をしたのですが、食事のたびに便意をもよおし、それ以外でも便意をもよおしたのです。

一般病棟で、相部屋の方はカーテンを閉めているのでお顔はしっかり拝見していませんが、看護師さんが次から次へと訪ねてこられて話をされるので、どんな方かわかりました。大きな事故(交通事故?)で3か月も入院されていて、いまだ車椅子を使っていたのですが、いよいよ退院されるとのことでした。3か月も入院されていたので、ほとんどの看護師さんと顔なじみになっていて、看護師さんたちが次々と、退院を祝って来ていたのでした。
その方は、明るい美しい声をお持ちの方でしたが、毎朝、看護師さんに排泄について訊かれると、
「4回行って、うち大は1回でした」
と、はきはきと報告なさいます。次、看護師さんは私に訊くのですが、私はもごもごと、
「10回くらい行って、うち5回くらいは大でした」
と、はっきりしない報告するのです。
実際は、夜眠れないままにお手洗いに行くので、もっと回数が多かった日があったかもしれないし、大が半分以上の日もありました。
腸、あるいは脳が何か異変をおこしているとしか、考えられませんでした。


8日ほどで退院できたのですが、頻繁に便意をもよおす状態は約5週間続きました。そして、お手洗いに行くうちの3回に1回が大に、それでも少し減った状態が2週間続き、怪我から7週を過ぎたころ、やっと正常に戻りました。

哺乳類はもともと、何か食べれば便意をもよおしたそうですが、いまでは1日1回が普通、それどころか、1日に1回も排泄できない便秘がちの人も多いそうです。
「日本うんこ文化学会」によれば、生まれた時から便秘に悩む赤ちゃんもいるとか、それに比べると、私は不思議な体験をしたものでした。







4 件のコメント:

かねぽん さんのコメント...

おはようございます。
僕が胃潰瘍で2週間入院した時は、歩くのに不自由はないのに、はじめの1週間程は病室のオマルで用をたさなければなりませんでした。ひとりでトイレに行って個室内で倒れたりすると困るからだそうです。
あと、ウンコと言えば今年5月に無くなった藤田紘一郎博士を思い出します。個人的な面識はありませんが。

さんのコメント...

かねぽんさん
体調を崩すと、普段何でもないことのありがたみをしみじみと感じますよね。

そうですか、藤田紘一郎さん、お亡くなりになったのですか。身体にサナダ虫を飼っておられたりしましたが、ちょうどそのころ、エチオピア帰りの人たちがサナダ虫を駆除するのに苦労していて、「やっと出た」などと言っていましたので、「サナダ虫を飼うなんて大丈夫かいな?」と思っていました。
エチオピアに生の牛肉のサラダがあって、美味しいけれどサナダ虫の卵が産みつけられていることがあります。「目で見て卵を避ければいいんだ」とエチオピアの人は言いますが、そうはいかない、日本人の何人かがサナダ虫を、身体の中に育ててしまいました。サナダ虫は、駆除する薬を飲んでもなかなか死なず、長い体を切り捨てて頭だけ残り、また伸ばしていきます。
私はサナダ虫の怖さを知っていたので、どんなにおいしいと勧められても生の牛肉は食べませんでした。エチオピア人からは、「こんなおいしいものを食べないなんて」という憐みの目で見られましたが(笑)。

hiyoco さんのコメント...

面白いですね。肋骨が折れることと腸の働きにどんな関係があるんでしょう。何か重大な危機が迫っているということで、ちょっとでも流れて来たらさっさと外に出すよう脳から指令がでていたんですかね~。
便や尿は見えない体の中の状態を教えてくれますね。去年健康診断で初めて検便をしたら、潜血で要検査になり、今年に入って内視鏡検査をしたら2.6㎝の大腸ポリープが見つかってその場で切除しました(鎮静剤打ってるので無意識のうちに)。日帰り手術だったので翌日から海散歩できたし、組織検査で癌化していなかったので助かりました。
サナダ虫についてネットを見たら、魚や肉はよく加熱すれば問題ないとありました。逆に、知らずに食べちゃっている可能性があるってことですね(笑)。フランスでホームステイした時に、牛の生肉ハンバーグ(
タルタルステーキ)を出してくれたのですが、ごめんなさい、焼いて下さいとお願いして正解でした。

さんのコメント...

hiyocoさん
不思議でしょう?怪我をしたら右ひざが1カ月ほど全く違和感がなかったこと(今はちょっとある)といい、腸のことといい、身体って結構考えているんだ(笑)と思って、感心します。

えぇぇ、大腸にポリープがあったのですか。今は、腸とか食道とか、身体を傷つけないで内側からポリープを叩けるので、楽になりましたね。
肉は腸内に長くとどまるので、あまり食べないで、野菜をしっかり食べようと思うのですが、日によっては野菜を食べないで済ませてしまうこともあります(笑)。
フランスの肉は、きっと抗生物質を飲ませて育てているので、そっちは怖いけれど、寄生虫は大丈夫だと思います。藤田紘一郎さんは、その薬漬けで育つものを食べることが問題だとおっしゃっていたのですが...。