黒い絹地に刺繍をしてあります。
絹地は、手紡ぎ、手織りで、山繭の絹糸です。
前後身ごろの、袖下部分と、袖の一部には、ボーダー柄に織った、赤い絹布を使っています。
前立て、襟、裾、袖口などの模様は、すべて刺繍です。刺繍糸も絹です。
針目は小さく、これ一枚をつくるのに、長い長い時間を費やしたことがうかがえます。
打ちかけのように羽織って着るもので、羽織の紐のような紐がついています。
紐も自分で編んだもので、ビーズや刺繍で装飾しています。
前立ての刺繍。
脇裾の刺繍。
裾の刺繍。
模様には、それぞれ意味があるものなのでしょう。
裾には、これも自分で編んだコードが綴じつけてあります。
なぜか左袖だけに、編んだ紐を綴じつけています。
裏地は、工場製品のプリント地です。
あの地域らしい、赤が目立つ、華やかな布を四種類使っています。
表布と裏布とは、ステッチ(キルティング)で留めてあります。
そして、前裏両側に紐が綴じつけてあるのですが、どのような意味があるのか、どう使うのか、知りません。ハンカチなど下げておくのに便利そうです。
十六、七年前にバンコクの骨董屋で買ったものです。
丹精込めてつくった花嫁衣装を手放すなんて、東南アジアだけでなく、中央アジアでも山岳民族の生活や価値体系が大きく崩れているのを実感したものでした。
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