西アフリカの、マリでつくられた泥染めの布です。
長年使われたもので、泥の色はすっかり褪せています。
西アフリカの布は、日本のいざり機(いざりばた)と同じで、経糸(たていと)を自分の身体にくくりつけて張って織ります。そのため、布の幅は身体の幅と同じかそれ以下になりますが、この布は18センチと狭く、7枚接ぎ合わせて大きな布にしています。
日本の着尺は、身体の幅と同じくらいに織りますが、この布だけでなく西アフリカの布はどれも狭くて、中には幅が10センチに満たないものもあります。
ガーナのケンテは、その布幅の狭さを利用して、複雑な模様をつくっている布です。
栽培して、手で紡いだ木綿糸一本どりで織ってあるこの布は、使い古されたせいもあり、てれんてれんととてもしなやかです。
やはり手紡ぎの糸を一本どりで織った、絞り藍染めの布を持っています。
テーブルクロスとして使っているので、何度も何度も洗濯したものですが、いまだに布に張りがあります。
泥染めの布が、どんなに使い古されたか、何度水をくぐって柔らかくなったことか、比べるとよくわかります。
ちなみに、経緯とも糸二本どりで織ると、こんな感じになります。
やはり西アフリカの藍の絞り染めの布です。
さて、泥染めは、長い工程を経てつくられるものです。
まずタンニンの含まれている葉を採ってきて、細かく切って煮詰め、これに布を浸して染め、干してもう一度染めます。
次に、木の枝の先を叩いて柔らかくした筆に、水に溶かした泥をたっぷりつけて、絵を描きます。そして、泥が渇いた布を川で洗うと、葉のタンニンと、泥に含まれている鉄分とが化学反応して、黒い色に染まるのです。
また、葉を煮出した液に灰を混ぜて塗り、水で洗うと茶色に染まるなど、いろいろな色を染めることもできます。
この布は、元の色はよくわかりませんが、茶褐色だったのでしょうか。
4 件のコメント:
おはようございます。
白い部分を蝋か何かで塗って全体を染めたのだと思っていましたが、白い部分はどろを塗り残した部分ということですね?
それはそれで難しいような…。それにしてもそういう方法が分かるというところがすごいです。
karatさん
織物が伝えられたのと同じくらい古くから染められていたようですが、いまとなっては誰にもわかりません。それでも諸説あるようですが、腰巻の裾に泥がついていて、それが濡れたら黒くなったので染め方を発見したという説があります。どうでしょう?
1960年代にサバンナを訪ねてみると、裸に近い人がたくさんいました。女性だと、腰の周りに幾重にもビーズを垂らしたり、腰ひもの前後に葉のついた木の枝を垂らしたり、縄のれんみたいなのをぶら下げたりと.....。町のインテリは、「布を配っても身に着けない野蛮な人たち」と非難していましたが、熱帯で服を着ないことが野蛮かどうか、視点を変えれば、大自然の中で服を着ている人の方がおかしいということも、言えないわけではありません。
とすると、腰巻をしていて裾が黒くなったという前提が崩れてしまいます(笑)。
お茶にはタンニンが含まれていますが、バオバブの葉など、彼らがお茶として飲んでいた葉にもタンニンが含まれていたということ、それも面白いですね。
「これさー、泥がついてたところは黒くなるよね…わざとつけてみようか点々…、」みたいな感じですか。(^^)
肉を焼いていて、下の灰に脂が滴って石鹸が出来たとかいう話とか、面白いです。
karatさん
サバンナは色が単調ですが、家は日干し煉瓦に赤や黒(やはり樹液とか泥)で絵を描いて、崩れるのも防いでいておしゃれだし、随所に生活を楽しむ姿勢が溢れていました。
アフリカだけでなく、日本でも染め色が見つかったときは本当に嬉しかっただろうと推測できます。藍の発見も不思議ですよね(^^♪
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