2019年4月12日金曜日

きゃあつぐろだった!


佐賀県の杵島山(きしまやま)人形は、戦後生まれの「郷土玩具」です。
木の皮を残して、部分的に切り取り、切り取った部分に、生地を残しながら彩色しています。

学生時代から持っているものですが、正直、素朴というよりはちょっと洗練されていて、いかにも戦後生まれらしい郷土玩具のせいか、「お土産もの」とか、狭義の「民芸品」の匂いもして、九州各地のキジ車などに比べて、私はちょっと軽んじてきました。


カチカチ車という名前であることは知っていましたが、キジ車たちと一からげにしていたので、赤いのも黒いのもカチカチ車だと思っていました。



ところが、最近になって認識したのですが、黒い方だけがカチカチ車でした。「カチカチ」とは、杵島山地方でのカササギの呼び名だったのです。


しかも、カササギは佐賀県の県鳥のようです、


そして、赤いのはカチカチ車ではなく、きゃあつぐろ、きゃあつぐろとは、カイツブリのことでした。


そんな由来を知ると、急に親近感がわいてきました。
どちらも車がついているのは、キジ車を倣ったものですが、鳥は杵島山あたりに棲む鳥たちを形どったものだったのです。


底には、名前とともに、JAPANとも書かれていますから、輸出も狙ったのかもしれません。
カチカチ車の方には、意匠登録出願中の印もあります。そんなところが、昔はちょっと胡散臭くも感じたところだったかもしれません。


カチカチ車ときゃあつぐろは、佐賀県以外の観光地でも売られたり、この二羽だけでなく、ムツゴロウや十二支など、意欲的につくられてきた杵島山人形ですが、廃絶してしまっています。





2 件のコメント:

かねぽん さんのコメント...

おはようございます。
杵島山人形、初めて知りました。
こんなのがグリコのオマケに入っていたら全部そろえるまで買ってしまうと思います。
もう作られていないのは残念ですね。

さんのコメント...

かねぽんさん
昔は、郷土玩具とは一味違うぞという、その時代らしいデザイン性などが「ちょっとなぁ」と思ったりしましたが、「JAPAN」などと刻印されているのを改めて見ると、意欲的で、希望に燃えていて、素敵じゃないのという感じがします。
私は持っていませんが、犬とかムツゴロウなども楽しんで作った感じが伝わってきます。