2020年8月19日水曜日

八仙過海


以前、ヤフーオークションで手に入れた中国の土人形を紹介したことがありました。
もとは船に8人乗っていたと思われるのに、1人失われているものです。
先日、再びヤフーオークションで、そっくりの人形を見つけました。大きさもほぼ同じで、写真で数えてみたら、8人乗っています。どうしようかなぁと迷いましたが、手に入れられたら幸い、ダメだったらそれも仕方なしと、最低価格で入札し、そのままにして置いたら競争者がいなくて、二つ目の土の船が我が家にやってきました。


これが「新しい船」、すでに持っている「古い船」の失われているのは、先頭の人です。

新しい船の出品者は、郷土玩具のコレクターだったのでしょうか、この土人形について詳しい説明が書いてありました。
その説明によると、船に乗っているのは、道教の仙人の中でも代表的な八仙です。8人の仙人とは、李鉄拐(りてっかい)、漢鐘離(かんしょうり)、呂洞賓(ろどうひん)、藍采和(らんさいわ)、韓湘子(かんしょうし)、何仙姑(かせんこ)、張果老(ちょうかろう)と曹国舅(そうこっきゅう)の8人で、いずれも民間人から仙人になった人たちです。
この8人の仙人はその出身や特徴により、それぞれ老、若、男、女、富、権力、貧乏、低い身分を代表しています。つまり、社会の各階層、あらゆる生活状態の人々を包括しているというわけです。


八仙人の物語は、唐の時代からありましたが、広い国のことゆえ諸説ありました。
ところが、明の時代に、呉元泰という人が2巻56話の『八仙東遊記』という小説を書き、以後、登場仙人たちの名前が統一されました。

その小説の後半に、八仙人が揃って出かけて冒険する「八仙過海」の話があります。 
ある日、八仙人は東海の蓬莱山を訪れるため、呂洞賓が李鉄拐の杖を船にして、それに乗って(通常,仙人は乗り物として雲を使う)出かけます。彼らは、酒を飲んだり、歌を歌ったりしてにぎやかに航行して行きました。 
この日、海底でぶらぶらしていた花竜太子は、ふとどこからか美しい音楽が聞こえてきたので、音楽に誘われて浮上してみると、八仙人が目に入りました。


東海を管理する竜王の7番目の息子で、暴れん坊の花竜太子は、八仙人の中の美しい女性仙人の何仙姑に一目ぼれしました。そして、何仙姑を奪おうと、大きな波を立てて船を転覆させ、何仙姑を奪って竜宮に拉致してしました。
大波が去って海面が静かに戻った後、仙人たちは何仙姑がいなくなったことに気づきました。 七仙人は何仙姑を助けるために、ただちに竜宮まで駆けつけましたが、花竜太子は海老や蟹などが化けた妖精たちを率いて応戦しました。
漢鐘離の道具は、ガマの葉でつくったうちわで、それを使って、妖精たちを遠いところまで吹き飛ばしました。李鉄拐は杖で、花竜太子が化けた大きな鯨と戦います。しかし、花竜太子は次に大きなタコになり、李鉄拐の手や足をきつく締めつけて、李鉄拐を丸ごとお腹に吸い込んでしまいました。これを見た藍采和は、急いで自分の道具である花かごを持って、タコを覆おうとしましたが、タコは海蛇に化けて、東へ逃げようとしました。張果老はこれをロバに乗って追いかけましたが、ロバの足は蟹に噛まれてしまいます。すると曹国舅が蟹の妖精を殺し、張果老を助けました。
こうして、7人の仙人は力を合わせて花竜太子を破り、何仙姑を助け出しました。 
この、船の舳先に立つ、蓮の花を持っているのが、さらわれた何仙姑です。


さて、二つの船の大きさはほとんど同じですが、古い船(手前)の人形の方が、ちょっと大き目です。
古い船の船尾の二人は後ろを向いていますが、船には針金で留めてあるので動きやすく、もとは前を向いていたのかもしれません。


そして、新しい船の船尾についているこの植物は何かを意味しているのでしょうか?

漢鐘離と藍采和

道教というものを、私はまったく知りませんが、八仙人と七福神の類似とか、民間信仰とか、おぼろげながら感じることはできます。

杖を持っているのは李鉄拐か

人々の暮らしにとって、信仰とは何でしょう?そして、土人形とは何でしょう?
そんなことに思いに馳せさせてくれる古い土人形、興味は尽きません。










6 件のコメント:

hatto さんのコメント...

輪船では船の先端で櫓を漕ぐ際に、樹木の枝葉を挟むことで油がでて潤滑油的な役目を果たすので、何度も漕ぐ擦れや・減りを暖和する役目があると聞きました。土人形の船の横には、櫂を差すようなしつらえも伺えるので船の様式が違うかもですが...。

hatto さんのコメント...

文頭の「わぶね」は「和船」の間違いです。笑

hatto さんのコメント...

思い出しました。鵜飼の船の篝棒を回すときの潤滑剤になる...のは「ムクゲの枝葉」でした。

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=3516889425021911&set=pcb.3516898415021012&type=3&theater

さんのコメント...

hattoさん
ありがとう。でも鵜飼のサイトは残念ながら見られませんでした。
八仙人の船も、漕ぐのを潤滑にするための枝を船尾に乗せていたのでしょうか?しかし、なにせ仙人の船ですから、しかも元は杖だったものですから、漕がなくても進んだかもしれません(笑)。
他にも草をあしらった土人形を持っています。新しいうちは何でもなくても、つくってから年月が経つと不思議な存在感を出してくるような気がします。

rei さんのコメント...

「古い船」は何仙姑が拉致されたところ、「新しい船」は何仙姑が救い出された後ですね。何仙姑が落日荘に無事生還。おめでとうございます!

さんのコメント...

reiさん
気づかなかった!そういうことになりますね(笑)。
先頭の人(仙人)はよく見れば女性らしいけど、ちょっと見にはわかりませんでした。でも、何仙姑は蓮の花を持っていたと知って、はっきりしました。蓮の蕾はとってもかわいいです(^^♪