2025年4月12日土曜日

男の子、女の子


木彫りの男の子と女の子の人形は、やはりドイツのエルツ山地のザイフェンでつくられたものです。
男の子は我が家で日焼けしてしまいました。


ハーン工房でつくられたもので、丁寧に彫った頭部つきの身体と、脚と両手とが別々につくられています。


脚は稼働できるように、身体に切り込みを入れて接続して、手は洋服でつなげて、動かせるようにつくられています。


脚は、ゆるくはめるとぐらぐらして立てないし、固いと座れない。いい塩梅にできていますが、男の子はズボンが邪魔をしてこれ以上曲がらず、やっと後ろに倒れない状態だけど、脚が浮いてしまっています。
木を彫り出して、彩色して、髪の毛をつけ、洋服を着せてと、なかなか手の込んだものです。

エルツ地方は、第二次世界大戦後に東ドイツに組み込まれました。東ドイツでは従業員数が10人を超えた企業は国営企業になるため、それを嫌った玩具職人たちは、先祖代々の家内工業を守り、小さな工房での玩具つくりに徹しました。
皮肉にもこの国策が幸いして、ザイフェンでは商業主義的な近代化に侵されることなく、この地の伝統的なものづくりが生き残りました。
1971年に東京の吉祥寺で創業した、ヨーロッパの玩具販売店の先駆けである「ニキティキ」は、東ドイツ時代には、ザイフェンでつくられたおもちゃは、それを取りまとめる西ドイツの商社から輸入していたので、いったいどんなところで誰がつくっているのか、まったく知ることがなかったそうです。
1990年の東西ドイツ併合後は、各工房との直接取引が可能になり、この人形たちがハーン工房でつくられたことが分かったという次第でした。

krtekより借用

ハーン工房では、今でも同じ人形がつくり続けられています。


いつのまにか我が家に来ていたザイフェンのおもちゃたち、その多くは東ドイツ時代のもの、クリスマス飾り以外のものは、子どもたちが遊んだり、日常的に飾っていたりで、塗装が剥げてしまったものもあります。







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