2011年6月22日水曜日

こばやしゆうさんの仕事



先日、一度は行ってみたいと思いながら、何度も機会を逃していた、こばやしゆうさんの展示会に行ってきました。
場所は、宇都宮市内の個人のお家で、小さめのかわいい蔵や、古い建物の中での展示で、家も素敵、大谷石を敷き詰めた庭も素敵、ゆうさんの油絵や焼き物も素敵、楽しい時間を過ごしました。




私が気に入ったのは、「パズ」でした。陶器の中に、顔の描いてある木のピースが入っています。外にはみ出している青い顔もパズの一部で、真ん中の列の左のピースとだけ、取り替えることができます。




ピースを外してみるとこんな感じ。
一番上の灰色の顔だけ、木を削ってつくったものではなくて、陶器でできています。




そして、横長の顔には、裏に別の表情も描かれています。もっとも、こちら側を見せるようにはめることはできませんが。
とったり、はめたりしていると、幸せな気分になってきます。

その昔、土門拳の『筑豊のこどもたち』という写真集を手に入れて、息子の同級生のお母さんに見せました。一緒に楽しんでくれる思ったら、まじまじと顔を見られて、
「へぇぇ、こんな本を買う人もいるんだ」
と言われてしまいました。
息子は大きくなってからその同級生と再会し、結婚しましたが、すぐに破綻しました。

「パズ」を見ていて、なんだかそんなことを思い出しました。
あの人に見せたら、
「へぇぇ、いい年してこんなものを買う人もいるんだ」と言われてしまいそうな「パズ」でした。




展示会に行っても、いつも何も欲しがらず、見てるだけの夫ですが、この日は庭でいただいたコーヒーが入っていた「しっぽカップ」が気に入って購入しました。




こうやって持ちます。重い!
土を紐のように伸ばして、その紐をぐるぐる巻き上げてつくってあります。




普通のコーヒーでもゆうに三杯は入りそう、エスプレッソなら十杯も入りそうな、大きな大きなカップでした。

このところ、足の裏に根が生えてきたのか、あまり出歩かなくなっていますが、行ってよかった、楽しい一日でした。

2 件のコメント:

ポンチョ さんのコメント...

 この「バズ」、私も、いいな、目の前にあったら、買うだろうなって思いました。「食器」のラベルだったので、箸置きセットかな?と思いましたが、それにしてもかわいくて素敵!こういうモノをつくれるこばやしゆうさんによろしく。入れたりもったりしてしまう春さんの気持ちもうなずけます。土門拳の「筑豊の子どもたち」の写真集、私も持ってます。20代後半に喜びいさんで買ったものです。土門拳のいろいろな人の顔を撮った写真もいいですよね。その中でも、私は志賀潔という細菌学者の丸い眼がねの棒のところを絆創膏か何かで直してかけているその人の顔が一番印象に残ってます。チョビヒゲとその丸めがねが似合っていて、素敵だなと思ったりもしました。「赤痢菌」の発見に貢献があったのに、学者の生活が「赤貧」という土門拳の紹介文を読んで、ずいぶんな国の対応に写真を見つつ憤慨したりもしてましたね。
 これらのモノ、本に惹かれるってのは、やっぱり少数派なんですかね。
 ちなみに、うちの夫もしばらくの間めがねの棒を絆創膏で直してかけていたことがありましたが、素敵だな、とまでは思いませんでしたね(笑)。

さんのコメント...

ポンチョさん
「パズ」は、居間のサイドテーブルの上に置いてあるのですが、とぼけた顔が目に入り、通るたびになごみます。
毎日眺めています。
私も志賀潔の写真好きです。また、『筑豊の子どもた』のなかで一番好きなのは、お弁当を持って来られない子どもたちが、でもみんなと一緒に席について、むきになって本を開いている写真です。
あの写真を見ると、ひもじさが伝わってきます。このごろは、どちらを向いても、人のせいにして、「政府はどうしているんだ」、「行政が何とかしてくれ」という話ばかりですが、あのころは、子どもにも、したがって大人にも品位がありました。自分はどうするかを、しっかり考えて、切り抜けている姿が胸に迫ります。
メガネのつるが折れたのは、やはり始末に悪いですね(笑)。このごろは、100円メガネばかりです。100円ショップのものづくりを底辺でを支える人たちの過酷な生活を思えば、足を向けない方がよいのですが。