2012年1月5日木曜日
豚の貯金玉のルーツ
中国のおもちゃの本は、これだけしか持っていないと思っていました。
ところが、別の本をさがしていたとき、こんな本が出てきました。
「懐かしい」
久しぶりに見ました。1981年に、中国人民美術出版社+美乃美から出版された、『中国郷土玩具』 です。
でも、中を見ていたら、悔しさがこみ上げてきました。以前持っていたのに、1980年代末の地震で壊れてしまった、古い土人形たちが載っているからです。
その悔しさゆえ、この本は封印されていたのかもしれません。
その本に、張子の豚が載っていました。
広東省のもので、長さは13センチくらいです。
もう一つ、土の貯金玉も載っていました。
これも広東省のもの、長さは25センチとあります。
張子で、この土の豚の大きさの貯金玉をつくると、以前、タイのクロントイのスラム内で、行商人から買った張子の豚の貯金箱と、そっくりではありませんか!
タイには、中国籠をはじめとして、中国から移住してきた人たちが持ち込んだ中国文化が、さがせば、そこここに息づいていました。
この豚の貯金玉も、そんなものの一つだったのです。
たった一度見かけて、二度と見かけることはなかった赤い豚の貯金玉。誰かスラムに住んでいた人がつくっていたのでしょう。
あのころは仕事がなかったので、張子で糊口をしのいでいた人もいましたが、経済発展した今では、もう誰もつくっていないかもしれません。
しっぽは、よくどこにでも売っている、ビニールの荷紐でできています。
『中国郷土玩具』の出版を祝って一文を寄せている、中央工芸美術学院院長の張仃さんは、中国では「宮廷」と「民間 」を比べると、「郷土芸術」はほとんど無視されていると書いています。
でも、「郷土芸術」にも、次第に関心がもたれるのではないかという希望も述べていますが、30年経った今、芽は出て、そして育っているのでしょうか?
張仃さん自身もコレクターであったこともあったけれど、あの文革の十年に、洗いざらいやられてしまったそうです。
この本に収録されているおもちゃは、李寸松さんのコレクションでした。
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