建物の中にどう住まうかというよりも、三方を閉じて、一方だけを開いた中庭をつくりたいというのが関心事で、完成図は頭の中にくっきりとありました。
東と南北の三方を建物で閉じると、その後ろで木々が建物を抱き、さらにその背後には低い山々があるので、山で抱かれているという、三重構造になります。
住む家をつくるというより、空間を感じる大きな彫刻をつくっていると言った方が、ぴったりするかもしれません。
その最後の一辺である、東の門と駐車場の基礎コンクリートは、作業棟と同時進行させていたので、すでにできています。
ただ、建物をつくってしまうと、工事の車が作業棟に近づけなくなるので、門を建ちあげるのは後回しにしていたのです。
材木は、すでにほとんどそろっています。
足りない材木を買い足して、一気に門まで建ててしまいたい。日に日にそんな気持ちが高まったようで、続けて門を建てることになりました。
中心になる門の柱は、その昔、いつもの材木屋さんのセールのとき安く買ったケヤキがあります。
今回、その材木屋さんに、それに見合う厚みと長さの、ケヤキの梁を見積もってもらいました。16センチ厚み、30センチ幅、320センチ長さの材ですが、後で聞いたら我が家の事情(自分で建てている。銘木にこだわっていない)を知らない人が見積もったとか、出てきた値段は、かなり高額でした。
「こんなに高いのは、買えないなぁ」
というわけで、もっと安いのをさがしてみるという材木屋さんに断りを入れ、ケヤキなら、たくさん在庫のあるかんばやし製材所に、安く分けてもらえるケヤキがないか訊いてみました。
このあたりの家では、もともと防風林として、屋敷地にケヤキを植えていました。その落ち葉は田んぼに肥料として入れる、お米づくりに欠かせないものでした。
ところが、茅葺屋根の家はめっきり減り、気密性の高い家を建てて暖房の形態も変わったので、防風林の重要性はなくなってしまいました。しかも、落ち葉の代わりに化学肥料を使うようになると、ケヤキの大木は、うっとうしく、大量の葉を落とす、ただの邪魔な存在となりました。そのため、農家ではこぞってケヤキを伐りたいと思うようになりました。
そんな、屋敷地に生えていたケヤキの大木を、かんばやし製材所では伐って引き取り、製材してたくさん持っているのです。
「あるよ。安いのをさがすよ」
ちょっと白い部分が混じっていて、虫食い部分もありましたが、格安のケヤキを用意してくれました。
ところで、我が家に置いてある材木と、材木屋さんで買い足す材木とは、材木屋さんがプレカット屋さんまで運び込み、加工したものはまた我が家まで運んでくれることになっています。もちろん、頼めば他所で買ったケヤキ一本、喜んで運んでくれるのですが、高額のものを断った手前、ちょっと気が引けます。
というわけで、自分でプレカット屋さんまで運ぶことにしたら、製材所のひろのくんが軽トラックに積んでくれました。
まず、荷台の後ろに、滑らないように、そして高さも出るようにと、角材を固定しています。
紐の掛け方は、あくまでも美しいものです。
左端にかんばやしさんの手が見えますが、ひっきりなしに指示を出しています。
楽しそう!
角材をくくりつけたら、ケヤキを乗せます。
バランスよく乗りました。
次に、ケヤキに紐を掛けます。
ほぼ紐をかけ終わったところです。
この結び方、紐が締まり、張ってあるかぎり解けませんが、外すとき緩めると、簡単に解けます。
私も結べますが、いつもやっていないので、もたもたとしかできないし、引っ張る力も弱いものです。
後ろに回した紐は、かすがいで外れないように止めてくれました。
念には念を入れます。
荷台の前に、ほぼ同じ幅の板を打ちつけて固定し、その両脇に紐を掛けて、ケヤキの横揺れを防ぎます。
約一時間走って、峠を越えた山向こうのプレカット屋さんまで、ケヤキを運びました。
プレカット屋さんでは、
「こりゃ、しっかり締めてあるなぁ」
と、感心しつつ、解くのに、ちょっと手間取ったりしました。
89歳のかんばやしさんは、訪ねたときは製材機械に乗って作業中でした。
私たちがケヤキを運び込んだのを見て、わざわざ出てきて荷卸しを手伝ってくれた、プレカット屋の理事長は90歳、
「今度はおれに言え。もっと安く買ってやるから」
とばかり、熱烈歓迎してくれました。
理事長は、毎日9時から5時まで出勤しているとのこと、ご長寿のパワーに励まされた一日でした。
8 件のコメント:
今はヒッパラ―のような治具で固定しますが、
鮮やかな手口ですよねー
工場内の天井を走る走行クレーンや道具を吊りあげるワイヤーも
絶対にはずれないし、緩めれば簡単に、、、
いまだに忘れていません。
おまけにロープの安全・切断加重まで
(命がかかってますからね)
共通する話題が面白いです。
昭ちゃん
あはは、ヒッパラーって知らない。軽トラで長いものを運ぶときはいつもこれです。
10年ほど前までは、ホームセンターでは、長いものを買うと店員さんが結んでくれたりしました。でも崩れたときの保証とかなんとかで面倒になったのか、今では絶対に結んでくれません。自分でやります。今でも結んでくれるのは、この製材屋さんと、材木屋さんだけです。
紐結びは、確かに大企業などではヒッパラーとかに押されているのかもしれませんが、船乗り(ヨットマンだけかな?)の間ではまだ健在かしら?有機農業の連中は、みんな結べますよ(^^♪
結んでくれたひろのくんも東京育ち、古い人とばかりつき合っているので、尺や寸はすぐにわかるのに、センチだと急に思考が鈍るのが、玉に瑕です(笑)。
私も古いのでボルト類はインチでないとピンときません。
今は全部ミリネジでしょー
配管のパイプ類もミリですか。
宮内庁御用燵アップで金平糖は食べました。
昭ちゃん
ボルトはインチとミリと両方あって、とっても面倒です。なんとかしてくれーとも思いますが、まあ、ボルトとナットが、合えばいいんですよね(笑)。
私も長い間大工をしているので(笑)、長さとか、わりあい目見当で、センチで言い当てられます。で、尺寸にもだいたい換算できます。でも話をしていて、尺寸しかピンとこないっ人って、ちょっとかったるい(笑)。
「幅が21センチの材が欲しいんだけれど」、「......」、「7寸よ」、「あぁ、あります」。
金平糖、食べたくなったなぁ。今度、見つけた店で買ってみます。そこの金平糖も、小さめでした(^^♪。私、金平糖やお汁粉を肴にビール、いける口なんです(笑)。
ちょつと思い出しました。
永六〇さんが活躍された頃よく六八コンサートに、
(八はピアノの中村八〇さんです)
巧妙な話題がポンポン出ましたし
「尺貫法」運動も、、、、。
昭ちゃん
ありましたねぇ。そんなことが。政府もなんであんなにかたくなになっていたんでしょうね。なんでもありでいいのに。今、コンベックスも尺金も尺寸がついているのがありますが、家ではメートルだけ使っていて、でも基準(一間)は182センチでやっています。
マイルはすぐ計算できますが、オンスや飛行機の高度のフィートはさっぱりです。多様性があるのはいいことですけどね。
面白い話題なのでくどくどごめんなさい。
昔のインクはオンス表示ですしカメラの距離もフィートから
今ではメートルにこんなところに骨董カメラの決め手も、、、、
×3で計算していました。
きりがなく多いですね。
0・3×で、、、、
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