2020年7月7日火曜日

蜘蛛の巣親分


小学校低学年向けですが、面白い本があります。
『くものすおやぶんとりものちょう』(秋山あゆ子さく、福音館書店、2003年こどものとも)です。
くものすおやぶんこと、おにぐものあみぞうは、はえとりのぴょんきちを連れて、町を見回っています。


遠景に描かれている虫たち。
虫好きでなくても、「何虫かな?」と、見入ってしまいます。
 

タガメは水の中にいるので魚屋さん、橋に腰かけて一服しているのは、誰でしょう?


さて、虫町の春祭りの前日、くものすおやぶんは、おかしのありがたやの前で、助けを求められます。
「こんや、くらのなかのおかしをちょうだいする。かくればね」
という、盗みの予告状が、ありがたやに投げ込まれたのです。
話がそれますが、カマキリのお母さん、かっこいいです。


ありがたやの並びには、スズムシのすずやや、カブトムシのかぶとやなどがあります。
 

ありがたやの主人たちはおいおいと泣いていますが、はえとりのぴょんきちは、美味しそうに、出されたお菓子をいただいています。
蟻のこけし、蟻のだるま、ミズスマシ模様の違いだななど、見どころ満載です。


おやぶんは蔵に蜘蛛の巣をかけて守ろうとしますが、謎の飛行物体に、蔵を破られてしまいます。


蔵に入った飛行物体は、入れ物に早変わり、お祭りのために用意されたお菓子が、次々と吸い込まれています。
というわけではなくて、3匹のかくればねが投げ込んでいるのです。
そのあと、かくればねはいろいろなものになりすまして、部屋の中を逃げ回ります。


それにしても、今まさに泥棒が入っているというのに、店の蟻たちはのんきなものです。
お風呂に入っている蟻もいれば、ご飯の盗み食いをしている蟻もいます。


緊迫感ゼロで、お手洗いに入っている蟻までいます。


外に逃げたかくればねは、桜の木の上に隠れますが、くものすおやぶんは見つけて、網を投げ、召し捕ります。


召し捕られた、かくればね3兄弟は改心します。


そして春祭り当日、まだ桜模様のかくればねは、迷惑をかけたお詫びにと、ありがたやの店を手伝います。


お祭りには、蜂が飴細工の屋台を、アブラゼミが油を使う天ぷら屋を、お米の好きなイナゴがすし屋を出したりしています。


かくればねは、盗人家業から足を洗い、繭を使って運送屋になりました。





4 件のコメント:

karat さんのコメント...

虫のことは好きではありませんが、なかなか面白くて実物を見てみたいと思う本です。虫に詳しくなければ、ここまでウイットに富んだ絵本は描けないでしょうし(その他大勢の生態が面白いし)、見やすい絵ですし。昆虫の世界の多様性にも気づかされる本ですね。。カクレバネという虫は知りませんでした。

さんのコメント...

karatさん
私も虫好きではありませんが、秋山あゆ子さんの本は楽しめます。
虫に着物を着せるって、足はたくさんあるし至難の業だと思われるのに、易々と描かれています。着物の外に羽が出たりして。
カクレバネ?実際にはいないんじゃないかなぁ。私も定かではありませんが。
羽が薄い蛾ならいると思いますが、カクレバネは掛け軸や襖絵の上に留まって、そっくり模様を写しています。子どもたちだったら、本の中で探すのが楽しいことでしょう。
また、機会があったら別の本をご紹介しますね。

hiyoco さんのコメント...

楽しい絵本ですね。細かく見入ってしまいます。ぴょんきち、目が大きくてかわいい!
やっぱりカクレバネっていないですよね?カクレバネで検索しても、この絵本しかでてきませんでした。

さんのコメント...

hiyocoさん
カクレバネがいたら面白いけど、架空の虫ですね。
秋山あゆ子さんは、秋山亜由子の名前で漫画を描かれています。今度紹介しますね。江戸の絵草子みたいでどう紹介したものか、ちょっと思案に暮れますが。
いったい、漫画って誰が読むんだろう?誰を対象に描いているのだろうと思ってしまうほど、とっても深いのです。