2022年2月20日日曜日

絵本

九州に住む長男が、「絵本を送ってくれ」と言ってきました。読み聞かせるので、少々難しいのでもいいと言うのです。
以前、私がたけちゃんに本を読み聞かせようとしたら、あまりいい顔をされなかったことがありましたが、時期が到来したのです。

息子は独特の「子育て論」を持っています。たけちゃんは離乳期には見事に美しい離乳食を食べさせられていましたが、そのうち好きな時に好きなものだけ食べる生活に代わりました。肉も魚も卵もほとんど食べないで、ナッツ、ポプコーン、甘栗などを好んで食べていて、決まった時間に食事をする習慣もなければ、食に対する執着心もありません。
「時代だろうなぁ。飢餓感がないのは」
と、息子は他人事のように言っています。
たけちゃんは1歳の検診では標準より小さくて、保健所で親の育児放棄を疑われたそうです。また、親が立たせたり歩かせたりする努力を一切しなかったからか、たけちゃんは歩くのも遅かった。けれど、歩きだしたら速い速い。ばたっと転んでも親は駈け寄ったりしないで無視するので、周りの人がぎょっとするらしいのですが、たけちゃんは何ごともなく立ち上がり、泣きもしないでまた駆けていくので、見ていた人は二度びっくりするらしいのです。
言葉も、まったく教えていません。息子によれば、人間は言葉を覚えると脳を使って考える。考えるのではなく、まず感性を養いたいとのことでしたが、お正月に会ったとき、3歳になったたけちゃんは雄弁になっていました。しかし、わけのわからないことをしゃべっていることが多く、その中で、ときおり通じて言葉で相互理解ができるということを、自ら学んでいる様子でした。

そんなたけちゃんが、絵本と出逢う時期が到来したらしいのです。
何を送ろうかと本棚の前に座って、絵本を引っ張り出してみました。絵本の中には、私の好きな絵本がいっぱいあります。それを譲るかどうかと言えば、譲らないで持っているつもりです。

例えば大好きな瀬川康男さん、長新太さん、渡辺繁男さんなどの本は譲りません。
送るのは、幼児が喜びそうな本ではありますが、私の思い入れの比較的少ない本です。



中川李枝子、山脇百合子姉妹の『ぐりとぐら』(以下多くは、福音館書店のこどものとも、1963年)、『ぐりとぐらのかいすいよく』(同、1976年)。


中川李枝子、中川宗弥夫妻の『おてがみ』(1963年)、『はじめてのゆき』(1973年)。


妹の山脇百合子さんの『ゆうこのあさごはん』(1971年)。これらは、私が持っているより幼児に似合います。

かつて定期購読していた福音館書店の月刊誌「こどものとも」にはいい本がたくさんあり、世界各国の民話もその一つです。



スロバキアの民話『12つきのおくりもの』(内田莉莎子再話、丸木俊画、1971年)、スコットランド民話『こまどりのクリスマス』(渡辺茂男訳、丸木俊画、1960年)、



フィリピンの民話『われたたまご』(小野かおる再話、画、1872年)、ノルウェーの民話『しごとをとりかえたおやじさん』(山越一夫再話、山崎英介画、1974年)、


ウクライナの民話『びんぼうこびと』(内田莉莎子再話、太田大八画、1971年)、などなどです。



ロシアの物語、『おおきなかぶ』(内田莉莎子再話、佐藤忠良画、1962年)や、『三びきのくま』(瀬田貞二やく、丸木俊え、1971年)も、ロシア人ならだれでも知っている物語、ほぼほぼ民話のようなものです。
アフリカの民話などは、自分のために取って置きました。

それにしても作家陣、画家陣の豪華なこと、彫刻家の佐藤忠良さんまで絵を描いています。



バージニア・リー・バートンも子どもには欠かせない気がしますが、『ちいさいおうち』と『けいてぃー』の2冊だけにしました。
『せいめいのれきし』は、いくら何でもまだ早い気がします。


『ちいさいしょうぼうじどうしゃ』は、長男がとくに好きだった本です。
息子たちが読んだ絵本は、上の妹の息子たち、下の妹の娘のところを廻ってから帰って来たのですが、なくなってしまった本もあれば、新しく加えられた本もありました。
この『ちいさいしょうぼうじどうしゃ』は、そんな新しい本です。


というのも、息子が読んだオリジナル本はぼろぼろで、テープで補修したものがあります。



ロイス・レンスキーのスモールさんシリーズはとってもかわいいものです。
たけちゃんも、もしかしたら好きになるかもしれないけれど、その時は新しく買ってもらえばいい、古い本たちは私の手元に置いておいて、新しい本を1冊だけ送りました。


加古さとしさんの本の中では、『とこちゃんはどこ』が一番好きで、思い出もあります。しかし、『とこちゃんはどこ』は失われてしまっています。
『だるまちゃんとてんぐちゃん』シリーズもかわいいのですが、今回は『にんじんばたけのパピプペポ』を送りました。
以下は、今回送った本たちです。

『かにむかし』(木下順二文、清水崑絵、岩波子どもの本、1959年)、『はないくさ』(小林保治ぶん、平山英三え、こどものとも、1975年)、『げんたとやまんば』(松野正子さく、平山英三え、こどものとも、1979年)。


『こぶたのまーち』(村山桂子さく、堀内誠一え、1969年)、『とぶ』(谷川俊太郎作、和田誠絵、1978年)、『もりのおばけ』(片山健、さく、え、1969年)、どれもこどものともです。
『こぶたのまーち』の堀内誠一さんは子どもに絶大な人気がありましたが、若くして亡くなられました。


『ゆきがっせん』(菊池日出夫作、1989年)、『だいふくもち』(田島征三作、1976年)。


『もりのようふくや』、『だれかがぱいをたべにきた』、


『もりのなか』、『またもりへ』。


『ぞうくんのさんぽ』、『だぶだぶ』。


『ひよこさん』、『なにしてるの』。
後の方は面倒になって作者名など省略しましたが、このほかに『14ひきのねずみ』や『さむがりやのサンタ』なども送りました。


『やこうれっしゃ』は手元に置いておきたい西村繁男さんの絵本ですが、2冊あったので送りました。
たけちゃんが、この中の1冊でも好きになってくれるといいのですが。





2 件のコメント:

hiyoco さんのコメント...

何冊あるんだー、図書館ですか?って笑ってしまいました。
4日前に近所の友達が「朝ドラのお父さんが働かないのよ。子供が2人もいるのに」とステレオタイプではない父親の話をしていて、「思い出したけど、子供の頃に大好きだった絵本「ももことごろうのおくりもの」で、お父さんがご飯の支度をしていて衝撃だった」と言いました。実家で探したけど本が見つからないらしく、私もその絵本が(というかその作者が)とても気になったので図書館で見つけて、今朝彼女に見せると「これこれー、懐かしい!」と大喜びでした。実際にご飯の支度をしている場面はありませんでしたが、食事の時お父さんがエプロンをして食べている絵だったので、そこを読み取った子供の頃の彼女はすごいと思いました。そして予想通り、作者の大友康夫さんは積極的に子育てするお父さんでした。
前置き長くなりましたが、そんなやり取りがあったタイミングで、今日の春さんの記事が「絵本」だったので、彼女にこの記事をお勧めすると「とてもおもしろかった!丸木俊さんの絵の本がたくさんあっていい」との返信がありました。
たけちゃんもお気に入りの絵本を見つけられるといいですね!

さんのコメント...

hiyocoさん
本棚のたった一部からこれだけ見つけてしまいましたが、まだまだ見てない棚もあります(笑)。それでも私の持っている絵本は「王道」の絵本ではないので、古本屋さんにも走りました(爆)。

朝ドラのお父さん、すごくいいです(^^♪主夫をしていてご飯の支度ができるならまだしも、何にもできません。でもまったく自然体で、家族みんなお父さんが大好きのようです。物理的貢献ではなくて精神的貢献をしているようです。
脚本家の藤本有紀さんはすごい。『ちりとてちん』も、これまでの朝ドラの中で一番好きでしたが、近松門左衛門を描いた『ちかえもん』というのもとても面白いです。『カムカムエヴェリーボディー』にはいろいろなところに仕掛けがしてあって、ジグソーパズルのようです。例えば大月錠一郎が絶望して泊まる宿の看板が一度だけ映るのですが「月浜」で、彼は浜で自殺しようとするとか、「大月」という名前の回転焼き屋を開いたところから大文字焼きの「大」の字の山が見えて、回転焼きが「丸くて月みたい」というセリフがあって、合わせて「大月」とか、いろいろあります。
『ももことごろうのおくりもの』は知りませんでした。『カムカム』にはすぐこぼして服を汚すお父さんがよだれかけをして食べているシーンがありましたよ(笑)。