2010年11月21日日曜日

籠の編み方比べ




脱いだ衣類を入れたり、洗濯物を入れたり、お米を入れたりと、毎日のようにつかっている籠たち。国によって、あるいは地域によって、編み方はいろいろですが、底から脇へと、籠の形づくり方には、はっきりした地域性が見られる籠もあります。

大きさや形がよく似た籠の、底やつくり方を、ちょっと比べてみました。




日本の籠の底です。
四角く編みはじめて、立ち上がる前には、もうすっかり丸くなっています。
左の籠には、補強用の竹が入っていませんが、もっとも擦れるあたりのひごは、皮つきの方を外にして、磨耗をできるだけ防ぐ手立てがなされています。




右は、「肥料籠」と呼ばれているものです。堆肥などを入れて、抱えて、畑でパッパッと撒くものでしょうか。
左は古いもので、どんな用途に使われていたものかわかりませんが、よく似ているので、やはり肥料籠だったのかもしれません。




カンボジアの籠の底です。
四角く編んだものを、ぎゅうっと絞るのでしょうか。網代に編んだ目が四角の角、角で、ぎゅっと詰まって、変形しています。
四角く編んだ編み目がはっきり見えるのに、角はせりあがっていって、形は途中で丸くなっています。

底としては、補強材もなく、無防備にも見えますが、もちろん長年使っているあいだに磨耗しますが、意外と丈夫で長持ちするのが、カンボジアの籠の特徴です。




縁は左のようにラタンを巻いたものと、補強のために竹の板を回したものがありますが、竹の板を回したものの方が長持ちします。

もっとも、カンボジアの農家では、ラタンや竹が擦り切れないように、そして籠の目が詰まるようにと、大切な籠ほど、右の籠のように、樹液を厚く塗って使います。




日本の籠やカンボジアの籠が、底から立ち上がるときには、すでに丸くなっているのに比べて、タイの籠の底は四角です。

中には、底が丸い籠もありますが、そんな籠は、底に丸いものを嵌めるという感じで、立ち上がりの部分とまったく縁が切れてしまっているのが、タイの籠の特徴です。






擦り切れやすい角は、太いラタンを当てて、補強しています。
一番小さい籠には、短い足がついています。




四角で立ち上がって、自然に丸くなったら、あとは膨らませたり、また絞ったり、自由自在です。




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