2015年7月1日水曜日

不思議な窪み

瀬戸の招き猫をUPしようと思ったら、しばらく掃除しなかったとみえて、埃が積もっていました。釉薬を掛けた磁器の招き猫の掃除は簡単です。
濡れ雑巾で拭くこともできれば、水でじゃぶじゃぶ洗うこともできます。というわけで、雑巾でごしごし拭いていたら、
「あれっ?」


これが瀬戸の招き猫たちです。


発見しました。
後ろの、前垂を結んだ、その結び目の下に窪みがあるのです。
その窪みに、とくに埃がたまっていました。
 

前列右端の猫は水滴なので窪みではなく、小さな穴が開いていました。


古い猫ではなく、新しい招き猫はどうなっているのだろう?
 

左の「おもだかや」の猫は、古作の写しなのか、約束通り結び目の下に窪みがありますが、右の猫にはありません。


さらに、大きい猫も見てみました。
右は日本招猫倶楽部の復刻猫です。そして、左の四年前の地震で手を負傷している猫は、その昔浦和の骨董市で買ったものですが、そう古くない猫です。


どちらも結び目の下が窪んでいました。
それにしても何故窪みがあるのでしょう?
理由は、想像もできません。


もっと見ようと、失敗猫を見てみます。


これは、釉薬がうまく溶けないで、まだらになって捨てられ、絵つけされなかった猫です。


窪みはありましたが、水滴でもないのに、小さな穴が空いていました。
こんな、大失敗作さえ、長い間とっておけば商品になるし、それを買う人(私のことですが)さえいるのです。


さて、絵つけされていない猫も売れるということで、左端の猫は新しくつくられた猫です。
右と真ん中は、日本招猫倶楽部の復刻猫です。


左の猫は、残念でしたね。
せっかく瀬戸の古作を真似したのに、あわよくば古作のふりをして高く売ろうと思ったかもしれないのに、結び目の下に窪みがありません。
それに比べると、日本招猫倶楽部の復刻猫にはちゃんと窪みがついています。


さらに、瀬戸でも丸顔の猫には窪みはついていないだろうと見たら、


案の定、窪みは影も形もありませんでした。


常滑と並んで一大招き猫産地の瀬戸。
瀬戸でも、最近は顔が小さめで真面目な顔をした写真のような招き猫より、丸っこい、にこにこほっこりした猫の方が主流のようです。






9 件のコメント:

hatto さんのコメント...

穴、気になりますね。絵付けをする際に、絵の具が手に付かないように串を挿して、絵付がしやすいようにした穴でしょうか。そして最後に、釉薬をその穴部分にだけ厚塗りして塞ぐのに、それが上手く乗らず穴が開いたままになった、、、というものでしょか? 

さんのコメント...

hattoさん
こんにちは。今日はしとしと雨が降っていますが、そちらはいかがですか。
土人形で、色を塗った後、小さくてそこいらにおけないようなものには、串をさす穴が底についていたりしますが、ひねり人形など、だいたい無垢のものに限られるでしょうか。
この磁器の招き猫たちは、全部中が空洞になっているので、串はさせません。両手でしか持てない大きいのもあるし。そして磁器ですから、絵つけしてまた焼くので、「塗って終わり」の土器よりもっといろいろなところを素手で持つことができると思います。
そして、どれも底には大小の穴が開いています(水滴を除いて)。
だからhatto説は難しいと思います(笑)。
とくに穴の開いている、あのできそこないの猫(笑)、あれはなんだったんでしょうね?その穴は別として、あそこに窪みをつくることが「お約束」だったことは確かです。
実際の猫にはあそこに窪みがあって、毛があるから目立ちませんが、指を突っ込むことができます。もしかして、それを表しているのですかね?

hatto さんのコメント...

そうなんですよね、通常は底面に穴がありますね。そうですか、実際の猫ちゃんにはそこに穴があるんですね!しらなかったです。・・・ということは?猫好きの作者の「こだわり」でしょかね。知りたくてたまらない「穴」事情。笑 こちらも朝は大雨でしたが現在は、小康状態。庭の栴檀が嬉しそうに雫垂れて、あちこちに露蛍です。

hatto さんのコメント...

な、な・な・なんとー!春さんの写真をもう一度見ていたら。「中外陶園」のシールが貼ってあるではありませんか。ここは、私の先輩後輩が沢山就職しております。そして、社長も夫の知り合いです。最近ご無沙汰してますが、機会があったら尋ねてみますね。「穴」事情・笑。瀬戸では、9月には「招き猫祭り」が毎年あり賑わっていますよ。「招き猫ミュージアム」も中外陶園さんが関わり創ってます。そして街中を歩く観光客は、みんな猫の顔に変身、楽しくペインティングされてますよ。笑

さんのコメント...

hattoさん
そうです。日本招猫倶楽部の毎年一体つくられている復刻猫は、すべて中外陶園製です。そんな関係があって、日本一の招き猫コレクターの荒川さんと坂東さんご夫妻は、自分のコレクションをすべて中外陶園に託されたのでしょうね。私も「招き猫祭り」には、はじまった頃、伊勢に一度、瀬戸に一度行ったことがあります。もう20年も前のことです。
荒川さんたち、そして中外陶園なら、瀬戸の招き猫の窪みのことをご存じかもしれません。というか、そこが知らなかったら、誰も知らないでしょう(笑)。日本招猫倶楽部の機関紙『福の素』にも、そんなお話は載っていた記憶がありません。
常滑の、戦後の、いわゆる「おそば屋招き猫」は世間に知れていますが、招き猫生産で言えば、瀬戸の方が先でしょう。では瀬戸でなぜ招き猫がつくられるようになったのか、購買層はどんな人たちだったのか、瀬戸の招き猫には謎(?)がいっぱいです。

hatto さんのコメント...

招き猫の背中に空いた穴についてですが、鋳込み成型の場合、焼成時に割れないように空気穴を開けることがあります。それが、背中に空けられたものではないか・・・。また、沢山ある中の一つだけとしたら、実験的にこの場所に空けたのではないでしょうか。・・・とのことです。私もこの回答に納得した次第ですがいかがでしょうか。

さんのコメント...

hattoさん
ありがとうございました。あの、できそこないの釉薬がしっかり溶けなかった(あるいは溶け過ぎた)失敗作の背中に開いた穴のことですね?
なんとも思っていませんでしたが、中に指を突っ込んでみたらつるつるでした。磁器はずいぶん昔から、流し込み(鋳込み)成型が行われていたのですね。型に土の板を押しつけて成型する土人形(郷土玩具)とずいぶん違うので、びっくりしました。
あれが空気穴としたら、「背中に穴を開けなくても、底に開ければ」と素朴な疑問で底を見たら、底にも穴が開いていました。ただ、あれの底には釉薬を削りとった痕があり(釉薬を掛け過ぎたのが溶けて流れてたまったのかもしれない)、底がべたっと、台にくっついてしまったら、実際にはあの小さな穴が何かの役に立ったかもしれないと思いますが、底がくっついて空気が通わなくなることをあらかじめ想定して開けるとは思えませんので、まだ謎です(笑)。
もしかして、中外陶園の方にたずねてくださったのですか?ありがとうございます。またお会いすることがあったら、昭和の初めごろの磁器人形は、射的の的だったのか、飾りものだったのかたずねてみてくださいませんか?それが私の大きな謎なのです。

hatto さんのコメント...

招き猫の底面には、「穴」があいているんですね。ならば、この背中の穴は「割れ防止」ではないですね。底の写真がなかったので、底は「ふさがっている」と想定した上での推測でした。・・・謎は解けませんでしたね。笑 昭和はじめの陶器、射的の的だったのか、飾りものだったのか、、、、について。了解しました。機会をみつけて尋ねてみますね。

さんのコメント...

hattoさん
人差し指が突っ込めるほどの穴が開いています。最近のは、その穴にフェルトのようなものを貼ったりしていますね。
磁器人形の小さいのは無垢、わりと見た目より重いものが多いです。そのときは何でもないと思っても、職人さんたちが絵日記とか残してくれていたら、本当におもしろいでしょうね。ちょっと昔にタイムスリップしてみたいです♪