マトリョーシカコレクターの道上克さんから、『マトリョーシカアルバム追加分』という、『マトリョーシカアルバム』に加える、日本の組子人形の載った冊子が送られてきました。
私は『マトリョーシカアルバム2019』をブログで紹介したとき、道上さんの集められたロシアのマトリョーシカしか紹介しませんでしたが、じつは道上さんの関心は日本の組子人形に広がり、巻末の方にいくつかの組子人形を紹介されていたのでした。そして、これからは組子人形を集めるとおっしゃっていたのですが、それが増えていたのです。
道上さんは集めるだけでなく、その集めたものからこれまで不明とされてきたことを解明されるのがすごいところですが、今回も、日本の組子人形を集めるだけでなく、そこから歴史や真実を紐解こうとされていらっしゃいます。
七福神(以下いずれもマトリョーシカアルバム追加分より) |
日本の組子人形といえば、七福神が代表的なものですが、ほかにもいろいろつくられていて、それらは日本向けだけではなく、海外向けのものもあったとのことです。
当たり前ですが、私は海外向けもあったなど、まったく知りませんでした。
歌舞伎絵 |
海外向けの組子人形の底には、MADE IN JAPANのゴム印が押されているのですが、それがどれも紺色のインクであることから、道上さんは、セルギエフ・パサードの玩具博物館に展示されていて、マトリョーシカのルーツではないかと言われている箱根の組子人形(通称フクルム)の底に、スタンプがあるのかどうか、そしてどんなスタンプが押されているのか、関心を持たれます。
達磨 |
鋳造用のゴムが日本に輸入されたのは明治32年(1899年)です(道上さん調べ)。
もし、玩具博物館のフクルムの底にも紺色のゴム印が押されていたなら、マトリョーシカのルーツは日本の組子人形だという説は根底から崩れます。
道上さんはつてをたどって、玩具博物館のフクルムの底の写真を手に入れられます。するとそれは、紺色のゴム印ではなく、朱印だったのです。つまり、日本でゴム印がつくられた1899年以前のもの、木版のスタンプだったのです。
軍人 |
道上さんはいま、朱印の押された組子人形を探していらっしゃいます。
伝統的なものは渦巻き模様だけなのに一番大きいのには絵が描いてある卵 |
これを読んで、私にも一つの疑問がわきました。
フクルムは、箱根にロシア大使館の保養所かなんかあって、そこでロシア人が手に入れて持ち帰ったとされています。だとするとフクルムは日本国内で売られていたもの、底には朱印の木版であれ、ゴム印であれ、MADE IN JAPANは必要なかったのではないかと思ってしまいます。
まだまだ、謎でいっぱいです。
組子人形だけでなく、ビー玉、お手玉などなど、たかがおもちゃですが、それぞれに長い歴史があります。ビー玉はたしか、エジプト文明にまでさかのぼるはずです。
そんな、歴史に埋もれてしまっていることの一つが、道上さんの努力によって解き明かされている、そしてそのおすそ分けにあずかっている、なんと幸せなことかと、しみじみ思いました。
道上さん、本当にありがとうございました。
11 件のコメント:
杖を付いた寿老人は長寿の神様ですね、
星の名前は「カノープス」で東京時代品川の海安寺に立像がありました。
多分戦災で不明でしょー
高度が低いので我が家から見ても4.5度ぐらい沈むのが早いけれど
地平線の気流の流れでキラキラ美しく私は11月の夜明け前6時から
観察します。 チョット私の方に引っ張ってごめーん。
訂正 日かんむりに安でした。
昭ちゃん
寿老人がカノープスの化身だなんて、知りませんでした。勉強になりました。
また、寿老人はサンスクリットでは「オン バザラユセイ ソワカ」だって!
実家が真言宗だったので、小さいころから耳にしたお経の一節が寿老人だったなんて、神さまのグローバルさに改めて驚きました。
姐さん我が家は昔から阿弥陀様は仏壇にあったけれど
無宗教だったようです。、、、、ソワカ懐かしい題目ですー
カノープスの南中は三月ですが私は条件の良い11月の早朝が
専門です。
昭ちゃん
夫の家も無宗教でしたよ。
でも私はタイ人と長くかかわっていたころ、「おまえの宗教はなんだ?」と訊かれるので、いつも「仏教徒だ」と答えていたので、仏教徒です(笑)。
もっとも、我が家の神棚には、どんな神さまもウエルカムなので、いろいろいらっしゃいます。アッラーの神は偶像はないけれど、神棚にはコーランも並べています(^^♪
友人の話ですが飛行機の中でもお祈りを始めるそうですね、
もっとも航空機は昔と異なり自動操縦・計器飛行だから、、、、
矢印も有るって。笑
昭ちゃん
今ほど航空運賃が安くなく、航路も限られていた時代、よくエジプト航空やパキスタン航空に乗りました。
お祈り場は、設けてありますよ。
イスラム教徒もキリスト教徒も日本人と同じで、信仰心が強い人もいればそうでない人もいる、海外に行くと羽目を外す人も多いですね。アムステルダム在住の友人が、アムステルダムに来る観光客は旅の恥は掻き捨てで、コロナ下もなんのその、傍若無人、今は(いつも?)来ないで欲しいと言っていましたが、飛行機の中でもお祈りする人は、しっかりした人じゃないでしょうか。
マトリョーシカのルーツは日本の組子人形か?の問題が解決するかどうか。
ロシアとしては日本がルーツなんて認めたくは無いでしょうね。
おもちゃ美術館に情報提供させて頂きました。
ロシアの玩具博物館には、館長始め美術館スタッフも訪問しています。
こう言う物を作る旋盤はもう一皮剥くか
どうするか名人芸でしたが
現在は全てデジタル化驚いています。
reiさん
道上さんは、ロシアのおもちゃ博物館のフクルムの底の朱印は、『マトリョーシカのルーツを探して』のご著者の熊野谷葉子さんに写真を見せていただいたと書かれています。
そして、律儀なことに、著作権があるからと『追加分』にその写真を載せることを断念されて、ご自分で探そうとしていらっしゃいます。私なら断りを入れたり、出どころを記載したりして、すぐにも載せてしまいそうですが(笑)。
いつか、おもちゃ美術館を訪問しますね(^^♪
昭ちゃん
私が学生時代に東北を廻ったとき、電気は山奥を除いてきていて、こけしづくりもほぼ電動で行われていましたが、一人だけ電動でない轆轤でこけしをつくっていらっしゃる方がいて、そのこけしを手に入れたことがありました。見た目は、電気轆轤で削ったものと変わりありません。
ロシアでも日本でも、電気が惹かれる前の長い間、すべて手や足でまわす轆轤を使っていました。中には水車を使った旋盤もありましたが、地形的に見て、どこでもそれができたと限りませんでした。箱根は知りませんが地形から言って、水車轆轤が使えたのでしょうかね?
日本では箱根で、10個以上入れ子になっていた卵型の入れ子がつくられましたが、ロシアでは100も入れ子になったイースターの卵がつくられていたそうですから、すごいとしか言いようがありません。
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