2024年2月8日木曜日

『ロシアの木造建築』


ロシアの木工と言えば、『ロシアの木造建築』(A.B.オポローヴニコフ著、坂内徳明訳、井上書院、1986年)という本を持っていることを思い出しました。
八重洲ブックセンターで見て買った『スウェーデンの木造民家』(長谷川清之著、井上書院、1987年)と『フィンランドの木造民家』(長谷川清之著、井上書院、1987年)が面白くて、同じ井上書院から出ている『ロシアの木造建築』も面白いだろうと、これは古書をネットで買ったら、写真がきれいでなくて、読みもせずに放り込んでいました。


今思えば、フィルムを現像したり、保存したりしておくのが、当時はいかに大変だったか、また印刷技術のこともあっただろうから、写真がぼやけているのは差し引いて見なければならないことがわかります。


『ロシアの木造建築』は、すでに朽ち果てようとしている建物も含めて、たくさんの木造建築を写し残した、貴重な本です。
『マトリョーシカのルーツを探して』に、ロシアの民家は「日本家屋の鬼瓦にあたる部分に馬の頭や鶏をかたどった像をつけて家の守りとすることがある」とあった、棟飾りの写真も多数載っています。


たくさんの民家が、木工職人のつくった装飾板や轆轤で引いたポールで、美しく飾られています。
マトリョーシカ誕生にかかわっていた芸術家たちは、民具や民家に注目し、それを集めたり、写した家具をつくったりと、ロシアの伝統に学ぶ運動を起こしていますが、それより四半世紀遅れた1926年には、日本でも柳宗悦などによって民芸運動が起こっているのはとても興味深いことです。


心に余裕がなくて、こんな家がつくれるでしょうか?
素敵すぎます。


といっても『ロシアの木造建築』の文はまだ読んでなくて、たくさんの写真を眺めているだけです。


家だけでなく、木の橋も素敵です。


これと同じような橋を、どこかで渡ったような気がするのだけれど、全然思い出せません。


木の橋のそばで育ち、架け替えも見たことがあったので、木の橋には親近感いっぱいです。
もっとも、祖父母の家の脇にあった橋は、木で組んだ橋の上に板を敷き、その上に土を盛って固めた橋でしたが。


木工技術はロシアでは、今でも脈々と続いていますが、大工仕事はどうなのか、この本をしっかりと読めばわかるかもしれないのですが。





 

2 件のコメント:

rei さんのコメント...

日本の木造在来工法の継ぎ手や仕口などの技術は、日本の得意技なのかと思っていたところ、実はドイツなどでも古くから同じ様な木造技術が存在したとの事実を知って驚いた(少々ガッカリした?)事を思い出しました。
ロシアでもログハウス等の大味な技に加えて、細かい技術が見られますね。

さんのコメント...

reiさん
そうなんです。木工も素晴らしいけれど、木造建築も素晴らしいですね。
丸太を組んだところに、繊細な飾り窓をきっちろ取りつけるだなんて、丸太に合わせて波型にすると考えるだけで、頭がきいーっとなってしまいそうです(笑)。
木工がこんなに盛んだということは、鍛冶屋さんも元気だということ。日本は、ノミや彫刻刀をつくる職人さんが絶えようとしている、瀕死状態のようです。それも使い捨て刃物で対応していこうというのかもしれないけれど、それでは人の技術というものは伝承されませんね。