2016年6月27日月曜日


先日、水戸にある常陽史料館に、やべふぢこさんの人形展を見に行きました。
常陽史料館は、茨城県の地方銀行である常陽銀行が、文化事業を行うために設立した公益財団法人である常陽藝文センターが運営しているものです。

そのとき、以前、常陽銀行で順番待ちをしているとき見た、『常陽藝文』のバックナンバーのことを思い出し、手に入るかどうかたずねてみました。『常陽藝文』は、常陽藝文センターの刊行している月刊誌で、私の欲しかったのは、クズを特集している号でした。
幸い、バックナンバーがあるとのこと、ちょっと離れた常陽藝文センターまで、いただきに行きました。


「特集 いばらき葛百科」
第一章 「憎まれっ子世にはばかる」的な「葛の繁茂の現状
第二章 「世のため人のため」に役に立ってきたその歴史
第三章 「郷愁を誘う」葉・花は文芸作品や伝説に登場
第四章 「驕れる者久しからず」とはならない葛との共生を考える
と、多角的にクズをとらえた、力の入った編集です。
 

まず、鉄道に沿って、高速道路に沿って、川に沿って、海岸線に沿ってのクズの旅をしています。
どこででも、嫌でも目に入るクズ、私ならカメラを向けないだろうクズの写真が、たくさん掲載されています。


クズの紋。
なかなかかわいい紋です。


葛根湯などクズを材料にした薬。


葛粉など、食材としてのクズ。
新芽と花はよく天ぷらにして食べますが、葉も美味しそうです。

月岡芳年「新形三十六怪撰 葛の葉きつね童子にわかるゝの図」

「恋しくば尋ね来て見よ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」
子を置いて去る狐、葛の葉の話は、なぜか小さいころから知っていました。


そして、嫌われもののクズを、活かしてみようと、繊維を採って織物をしている「染めと織りの会」の活動も、紹介されていました。
この本を読んだからと言って、クズを好きにはなれませんが、なかなか面白い企画でした。

ところで、昨日は、私の住む集落の林道の草刈りでした。
20人弱で、二本の林道の草を刈りました。ほとんど誰も通らない林道の方は、うっそうと草木に覆われていましたが、なかでもクズの勢力はすごく、『常陽藝文』の写真のように、クズしか見えない場所もたくさんありました。
お隣のたけさんに、
「昔はつる(このあたりでクズのこと)は、牛の餌だったんでしょう?」
とたずねてみました。
「んだ、牛だけじゃねえ。馬もだ」
そう、どこの家にも牛や馬がいて、クズは栄養価の高い飼料だったので、みんながこぞって刈ったので、今ほど我が物顔でのさばることはできなかったのです。

林道の草刈りも、以前はもっと時間をかけて丁寧にやっていましたが、みんなが年を重ねて、今ではさっさと済まさないと息が上がってしまうので、おざなりなやっつけ仕事になっています。
耕作放棄地がさらに増えているなか、クズの天下は、当分続きそうです。











12 件のコメント:

昭ちゃん さんのコメント...

春さん凄い!!!
ちょっと古い話で記憶がおぼろげですが、
確か花柳幻舟だったと、舞踊の見せ場でした。
 とりあえず第一報を、、、、、。

さんのコメント...

昭ちゃん
ただ、おばあちゃん子だったからですよ(笑)。楠木正成の歌とか、役に立たないことばかり頭に残っています。母子のものだったら、先代萩とかね(笑)。

hiyoco さんのコメント...

面白い特集ですね!とくに茨城の特産品というわけじゃないんですよね?第一章からして、クズをマイナスイメージで捉えているのが可笑し過ぎます。人の生活が変化して、ありがたい存在から疎まれる存在へと転落したクズが哀れですね。こんなに嫌われているのに、お店で葛粉が他の粉に比べ値段が別格なのが、同じ植物とは思えません。
脱線ですが、平家物語は「奢れる者は久しからず」と覚えたのですが、息子の教科書では「奢れる人は久しからず」になっています。いつの間に?

さんのコメント...

hiyocoさん
えええぇ!「奢れる人」だって!誰が考えて、誰が変えるのでしょうね。こうやって、いろいろなことが、気がついたら変わっているのでしょう。へん!へん!

葛粉については、この本には「品種改良し特殊な栽培方法で育てた葛の根が使われる」と書いてありましたが、いつか見たテレビでは、吉野葛の老舗では掘り人がいて、日本全国の山に分け入って、掘り出しやすい斜面を掘って根を取り出していました。たぶんそれが最高級(ほとんど人件費か?)で、次に高いのが、この本にある、掘りやすいように、そして根が太るように栽培したもので、普及品はジャガイモなどほかのでんぷんを使っているのでしょう。
茎は太いので3センチくらいのしか見たことはありませんが、根はもっと太い、ちょっとした山芋のようでした。

昭ちゃん さんのコメント...

 お助けガールから春さんにコメントが。

暴風林が松くい虫に、
これも落ち葉を燃料に使わないからだとか、
火を起こすことが生活の始まりですよね。
 バス停のくずも一昨年から弱っています
その前はウツボ草でしたが盛衰は自然の摂理でしょー


さんのコメント...

昭ちゃん
お助けガールさんは、二号さんかな?
松くい虫は、落ち葉をさらった方が松によいと言われますが、じつはほかの木もそうですね。昨年、コブシにもトチにも病気が出て、葉が黄色くなって落ちました。冬のうちに農薬散布を勧められましたがそれはできません。また、落ち葉をそのままにしておくと、病原菌が年を越して繁殖すると言われたので、落ち葉を焼いただけでなんとかしてみようと、せっせと片づけたところ、今年はどちらも病気が出ませんでした。
松も、木の下を掃除すれば病気が出ないし、マツタケも生えるのだろうと思います。

バス停のクズが弱っているって?クズは栄枯盛衰の栄と盛だけがあるから問題と思っていたけれど、そんなこともあるのかな?誰かがせっせと切ったとか、理由があるんじゃないですか?
我が家でもいろんな場所でクズの力を抑えています。そして、出たら切るだけじゃなく、根を掘ったりもします。でも、クズの数年出ていないところを掘ったら、根がいっぱい出ました(笑)。静かにスタンバイしていたのです。
そして、周りを見回すと、まぁどこもクズだらけではあります。
ウツボグサとか、ツルボとかは増えすぎたら消えそうですね。我が家のニリンソウも、理由がないのに、いまや風前の灯火です。

昭ちゃん さんのコメント...

春さんおたすけ1号がバルタンです。

さんのコメント...

昭ちゃん
あはは、ばるたんさんでしたか。ばるたんさんは、たしかフェイスブックをやっていますよね?お友だちになりたいので、そのことでこれから昭ちゃんにメールします。

hiyoco さんのコメント...

脱線ネタで申し訳ありませんが、どうやら「奢れる人」がオリジナルのようです。「祇園精舎 原文」で検索するとほぼ「人」です。江戸時代の伴信友という国学者の写本にも漢文で「人」になってます。いつから私たちは「奢れる者」で刷り込まれちゃったのか、謎です。後半で「猛き者」が出てくるのでごっちゃになったのかな?日本の広範囲で(笑)。

昭ちゃん さんのコメント...

私のこだわりを、
「視線」を目線といいますよね、
これはTV用語でカメラを見ることです。
「充分」も十分と、いやだなー
(永ちゃんの話より)

さんのコメント...

hiyocoさん
「奢れる人」、口に出してみると、全然ピンときませんね。長い間間違えていて、最近原点に返ったのでしょうか?そういうのって他にもあったような......。

さんのコメント...

昭ちゃん
どんどん脱線ですね(笑)。私は「来れる」、「出れる」、「食べれる」などが、どうしてもだめです。テレビのアナウンサーは決して言いませんが、出演者は言っているし、本などでも見かけることがあります。
あと、「生き様」も嫌でしたが(もともと、死に様しかなかった)、あまりにも見かけたり聞いたりするので、多少免疫ができました(笑)。