ナイジェリア人(民族的にいえば、たぶんヨルバ人)は、商売の上手な人たちです。1960年代には、ガーナの市場には、たくさんのナイジェリア人、とくに女性の店主、マーケットマミーがいました。
ナイジェリア人女性の服の着方を、どう表現したらいいのでしょう。威勢がよくて、いなせな感じに着ます。
180センチ四方くらいの、大きな腰布は、丈を短めに、ざっくり巻きます。頭にも大きな布を巻きます。
もともと、喧嘩っぱやい、血の気の多い人たちですが、服装からも、活動的な力がみなぎっていました。
写真を探してみましたが、退色したナイジェリア人の少女の写真が一枚、見つかったきりです。
と言っても、この子も、大人に伍して丁々発止と商売していた、元気すぎるほどの子でした。
この型染めの布を市場で見つけるまで、プリント布以前には、ナイジェリアでは藍染めの布が、腰巻として使われていたことを知りませんでした。
模様の中央の男女は、王と王妃なのか、ヨーロッパの影響が感じられますが、まわりは素敵なナイジェリア世界です。
パンチングメタルをそのまま型として利用しているところもあります。
この布を見つけてから、気をつけてナイジェリアの腰布をさがすようになりましたが、しばらく、見ることはありませんでした。
ところが、次に見たのは、住んでいたクマシの市場だったか、それとも首都アクラの市場だったか、洗濯して、柵に干している絞り染めの腰布でした。
「わぁ、きれいねぇ」
と、濡れているのもかまわず、触らせてもらい、試しに聞いてみたら、
「いいよ」
と、快く譲ってくれました。
細かい細かい、絞り染めです。
濡れたまましまい込んで、すぐには干せなかったせいで、しばらく匂ったりしましたから、やはり旅の途中で見つけたものだった可能性大です。
そして三番目に見つけたのは、手書きで糊を置き、それを藍で染めた腰巻でした。
櫛の模様のほかは、幾何学的な模様です。
藍も濃く、布もかたかったのですが、テーブルクロスとして一番頻繁に使ったので、いまでは色が褪せ、布は柔らかくなり、ところどころシミも残ってしまいました。
二年間ガーナに住んでいて、ナイジェリアの藍染め布を見かけたのは、この三枚だけでした。
その三枚の染め方が、絞り染め、型染め、手書きと全部違っていたのは、なんという偶然だったのでしょう。
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