河村目呂二(1886-1959年)は彫刻家、文筆家でしたが、招き猫のコレクターとしても知られ、自分でも招き猫を制作しています。
もし誰かが(まぁ、どう考えてもほんの限られた人ですが)招き猫の歴史を語ろうとしたとき、目呂二の存在を抜きにしては語れない、そんな招き猫とは深い深い縁のある人でした。
河村目呂二の創作猫の中には、縁福猫やマネーキー猫があります。また、自身の膨大な郷土玩具のコレクションの中から選んで、大きさをそろえてつくり直して愛好家に領分した、「趣味の猫百種」という猫セットなどもあります。
しかし、目呂二の膨大なコレクションや創作招き猫は、東京大空襲によってほとんど失われてしまいました。
毎年復刻猫をつくっている日本招猫倶楽部は2010年の秋、河村目呂二の「初代縁福猫」の復刻猫をつくり領分しました。
「初代」と名売っているのは、目呂二がつくった縁福猫、通称「芸者招き」は一種類だけでなく何種類もあるからです。
その年には同時に、瀬戸にある招き猫ミュージアム(荒川・坂東コレクション)の復刻猫として、マネーキー猫もつくって領分、私はそのとき両方を手に入れました。
ところが、2011年3月に東北大地震があり、震度6弱に見舞われた我が家の猫たちは、5分ほど続いた大きな揺れで次から次へと棚から落ちて木っ端みじんに壊れ、縁福猫もマネーキー猫も失われてしまいました。
地震直後は、生き延びてくれた猫たちへの感謝の気持ちの方が強く、数百の割れた猫たちへの思いは、わりとさばさばしたものでした。
もう河村目呂二の復刻招き猫の領分はないだろうと思っていましたが、2017年にはマネーキー猫が再び復刻されました。今では招き猫ミュージアムショップでいつでも買えるようです。
それが今我が家にいるマネーキー猫です。
2018年秋には、日本招猫倶楽部から「二代目縁福猫」が復刻・領分されました。
縁福猫には3つの型がありますが、二代目はより人間くさい猫です。
私は、地震で「初代縁福猫」が失われたのを残念には思っていましたが、好みとしてはあれでぎりぎり、二代目はちょっと生々しすぎて、遠慮しました。
すると、2019年に入って、もうないと思っていた「初代縁福猫」が、また復刻されました。「初代縁福猫2010」と型は同じですが、2010年の縁福猫の着物が薄紫色だったのに対して、今度は薄荷色の着物を着ています。
「初代縁福猫2019」を、日本招猫倶楽部の会報で知ったのは今年の2月だったか、じつは前年の暮に、日本招猫倶楽部の代表であり招き猫コレクター・研究家である荒川・坂東夫妻にお会いしてから日数も経ってなかったので、そのとき私の招き猫熱はまだ燃え残っており、失われた猫がもう一度戻ってくるという想いもあって、「初代縁福猫」を注文してしました。
それが、今頃仕上がってきたのです。
絵つけのきれいなこと、艶消しの羽織に描いてある松竹梅の模様が光線の具合で浮き上がったり、帯留めとして鈴がついていたり、しゃれた趣向がそこここに見えます。
「二代目縁福猫」の予告の時、一人一体しか買えないこと、本物はほとんどないのだから偽物の縁福猫に注意すること、などの注意書きが載せられていました。
どうも、2010年の復刻猫をわざと汚し、底のシリアルナンバーを削り取り、オリジナルだとして売った(売ろうとした?)、金に目がくらんだ輩がいたらしいのです。
あさましいことです。
復刻猫には復刻猫としての良さがあります。
どうも、2010年の復刻猫をわざと汚し、底のシリアルナンバーを削り取り、オリジナルだとして売った(売ろうとした?)、金に目がくらんだ輩がいたらしいのです。
あさましいことです。
復刻猫には復刻猫としての良さがあります。
一度は失われたのに戻ってきた縁福猫、手にしてみると、「帰ってきてよかったね」という想いが沸いてきます。
そんな私の想いは気にせず、縁福猫は、のんきに手を高く挙げて妖艶とほほ笑んでおります。
6 件のコメント:
こんにちは。
最初の目呂二の写真、もりわじんさんとそっくりで驚きです。
かねぽんさん
あはは、似ているかも。
もりわじんさんは、本当に才能のあふれている方ですね。
優しげな表情の初代縁福猫に一目惚れし、手元に置きたいと思いました
復刻版を購入されたようですが、今も販売しているのでしょうか
じゃこさん
コメントありがとうございます。
はっきりとはわかりませんが、日本招猫倶楽部の会員限定で少数、シリアルナンバー入りでつくられているので、会員になって次の企画を待つ以外ないかもしれません。
ブログにも書いたように、わざと汚して転売されたりしないよう、領分は神経質にやっていると思われます。瀬戸にある招き猫ミュージアムにもないだろうなぁ、残念ですが。
ご回答ありがとうございます。日本招猫倶楽部き入会し企画を待ってみようと思います。
じゃこさん
それがいいかと思います。どちらにお住まいかわかりませんが、9月29日前後には瀬戸で町をあげての「招き猫祭り」があり、いろいろな猫に出逢えるようです。
私は遠いので行けないのですが。
コメントを投稿