何のためにMRIを撮るのか、正確には理解していませんでしたが、どうやら、背骨が新たに損傷したかどうかを知るためのものだったようでした。
結果は、数年前の圧迫骨折によって背骨が鋭角に曲がっているところ(外からも突起として触れる)でたぶん、疲労などにより神経が圧迫され、それが原因で痛んだんだろうということになりました。
一旦痛むと、痛みは数日間は続くそうでした。
階段室 |
ところで、MRIは今回が二度目でした。
私は閉所恐怖症ではないと思いますが、以前、梯子ごとひっくり返って背中を打ったとき、MRIの最中に目を開けたら天井がすぐ目の前にあって、やはり息苦しくて焦ったものでした。
だから今回は、装置に入る前に目をつぶり、終わるまで絶対に一度も目を開けないと決めていました。MRIに入っていないつもりで過ごすのです。
さて、MRIの装置の中に横たわるのは約30分、何か気を紛らわせなくてはなりません。
まずは、自分の置かれた境遇と反対の広々としたところ、砂漠を想像することにしました。
行ったことはないけれど砂漠と言えばサハラ砂漠です。しかし、日陰のない日中はじりじりと暑いし、夜は恐ろしく冷えることばかりに考えが行ってしまい、ちっとも気持ちよさが湧き上がってこない、砂漠はやめました。
次に、狭さには狭さを持ってと、狭い場所を考えました。
その昔、息子たちが小さいころ、東京の離島新島に海水浴に行きましたが、夕方出発して朝には着く行きの船は芋を洗うような人でした。寝返りもままならない船上で若いご夫婦と知り合い、民宿も同じで、新島では息子たちが思いっきりかわいがってもらいました。しかし、帰りの船はどうだったのか、さっぱり記憶にありません。
プノンペンで働いていたとき、カンボジア人たちとアンコールワットに三泊四日の貧乏旅行(交通費を除いて一人20米ドル)をしたときも狭い思いをしました。
その旅行は、もとは15人ほどでランドクルーザー2台で行くはずでした。それが、当日の朝になって、母親や子どもだけでなく、友だちまで誘ってきた連中がいました。
それまでは内戦が続き、何十年も陸路は危険で行けなかったし、一生のうちでめったにない機会だからやむをえませんが、人数は倍くらいに膨れ上がり、車はとんでもなくすし詰めになりました。そんなことになれば、日本人だったら文句たらたらですが、タイ人やカンボジア人は決して文句など行ったりしません。一切を気持ちよく、心から受け入れます。
プノンペンからシェムレアップまで約320キロの道は、当時はでこぼこの悪路、地獄のドライブでした。行く先々で、スコップを持った人が待ち構えていて、車が通るとき(ほとんど通らない)だけ、スコップで大きな穴ぼこに土を投げ入れて見せます。すると、運転していたパンさんとリツさんは、いちいち停まって、自分の少ない旅行費の中から、なにがしかの心づけをするのでした。
シェムレアップに到着すると、みんなで必死に宿を探しました。ここもダメ、あそこもダメで、やっと見つかったのは、頭割りにすると一人たった1.5ドルほどの宿でした。男女二部屋だけ、寝返りが打てないどころか、重なり合うほどぎゅうぎゅうで寝ました。
窓に映る夕焼け |
さて、MRIの中でそんなことを思い出しているうちに、MRLのたてる太鼓や鉦のような音が切れ目がなくなりました。長く続いた、
「だんご、だんご、だんご、だんご」
が終わったと思ったら、
「たっ、たっ、たっ、たっ」
「りんご、りんご、りんご、りんご」
などという重なった音が大きくなり、音に集中していたら、ふっとすべての音が止みました。
「お疲れさま。終わりました」
乗り切りました。
2 件のコメント:
あはは、MRIの音は団子とリンゴなのですね!それにしても30分間何もせず横になるってつらそうです。睡眠可なのですか?
カンボジアの貧乏旅行はすごい体験ですね。もういちいち笑ってしまいました。ランドクルーザーの定員は何人なのですか?
hiyocoさん
もちろん睡眠可でしょう。
お腹はベルトで縛られ、胸には薄い枕のような錘を乗せ、手は筒の外みたいなところに出されてやはり錘を乗せられ、片方の手には耐えきれなくなった時押すようにとブザーを握らせられていますが。
これで、ぐーぐー眠れる人は偉い!(笑)。
いつだったかラジオで、MRLのとき何を想像するかと話されていました。アニメのシーンを思い出すといいという人もいました。閉所恐怖症の人は絶対無理ですね。元同僚でパレスチナの旧市街に入っただけで気分が悪くなっていた人がいました(笑)。道が狭くて迷路みたいにはなっていて、人は大勢いますが、頭の上には空があるのですよ!!!あの人はたぶん、5分もしないうちにブザーを押すでしょうね(笑)。
ランドクルーザーの定員は、5、6人でしょうか?舗装された道でも定員の倍も乗るときついでしょうね。荷台にも乗っていたと思いますが、荷物もあったし(笑)。揺れて隣とぶつかっても行き場がなくて、きつかったです。
雨期明けの最悪の道を、後ろの座席を一人で占めて片道6時間、往復12時間というのも経験しましたが、いちいち天井に頭をぶつけそうになったり、ぶつけたりしましたが、姿勢を変えられるだけ、ずっとましでした(笑)。たった100キロを6時間はすごいです。
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