2020年6月28日日曜日

タマリンド


「スカラベ」と一緒に買った手ぬぐいは、染織作家「MIHANI」の「ワオキツネザル」でした。
マダガスカルに行ったことがないので、ワオキツネザルに特別な思い入れはないのですが、タマリンドは大好き、タマリンドにまつわる思い出は、樹も葉も実も含めて、数えきれないほどあります。もし、タマリンドが描かれてなかったら、きっと「工房うむき」の「コウモリ」の方にしたと思います。


さて、模様には不満はありません。


ただ、手捺染なのに、染料が裏まで浸透していません。
手ぬぐいにしては高額だったのに残念、もしネットショップでなく、店頭で手にしたとしても、ビニール袋に包装されているので、捺染が裏まで染み込んでいないことには、気づかなかったと思います。



 

とはいえ、ワオキツネザルもタマリンドもよく描かれています。


タマリンドは熱帯アフリカ原産ですが、インドで命名されたのか、学名はTamarindus indicaです。

私がプノンペンに赴任した1998年ごろには、あちこちに、樹齢が100年もあろうかというタマリンドの大木の並木がありました。まったく剪定などしていなくて、どれもいい樹姿で、道の上に緑の天蓋をつくっていました。
私も部屋探しをしたとき、3階なのに窓の外にはタマリンドの緑しか見えない部屋を気に入り、そこに住むことにしました。窓の前に枝を広げていた木は特に大木で、大木信仰のあるカンボジアでは根元にお線香をあげる台が設置されていて、いつも誰かしらがお線香をあげていました。
ところが、どこかで強風でタマリンドの枝が折れて、道をふさいだことから、市では次々とタマリンドの幹を途中で切ったり、枝を払ったりすることになり、しばらくして私の住む通りのタマリンドも、順番に切られはじめました。



精霊も宿っている木なのに何ともならず、とうとう部屋の前の木も切られ、その時初めて、道の反対側の芸術大学の屋根瓦と、その向こうの王宮を、部屋から見たのでした。



以後、王宮に降り立つフンセン首相を乗せたヘリコプターを見たり、毎夕方、博物館をねぐらにしているコウモリが100万羽もで黒い帯をつくりながら出かける姿を見たりと、タマリンドが切られなければ見なかったものを見ましたが、残念は残念でした。



いつもは、路上生活者であふれている歩道ですが、結婚式の行列が通るときには、彼らは一時的に排除されました。
コテンパンに切られたタマリンドも、少しずつ枝葉を伸ばしていきましたが、部屋に住み始めた当時は、右にちらっと見える大木と、左の木の枝はくっついて、隙間がありませんでした。


2001年にカンボジアを去りましたが、2010年に1日だけ訪れたことがありました。


開発が進んで忙しい大都会になっていたプノンペン。誰も街路樹などにかまっていられないのか、ほとんどの木にインドボダイジュなどの溶樹が宿り、タマリンドなど、もともとの木は青息吐息の様子でした。
あの、ポルポト時代も生き延びたタマリンドたちは街から消え、甘く改良した栽培種だけが、果樹園で見らる日は、すでにやってきているのかもしれません。






3 件のコメント:

hiyoco さんのコメント...

プノンペンの写真は春さんの部屋ですか?それとも共同スペースのような場所?どちらにしても素敵です。
結婚式はみんなご馳走を手に歩くのですね。
注染は布の上から染料を流し込むので裏まで同じように染まるのは知っていましたが、手捺染がどういう手法なのか知らなかったので今回確認してみました。すると手捺染はシルクスクリーンのように色を重ねていく手法で(もちろん春さんは詳しいから私が言う立場ではありませんが)裏通りは完全じゃないようです。60~80%と言っている人もいるし、95%を目指してますというお店も。値段に見合う裏通りへのこだわりが欲しかったですか(笑)?
ワオキツネザルやタマリンドの各色が混ざり合うことないのは、手捺染だからこそなのですね。
代官山の裏通りに「かまわぬ」が登場して初めて入った時、「え~、手拭いがこの値段?!」ってびっくりしましたが、今では普通に買ってしまいます(笑)。

さんのコメント...

hiyocoさん
私だけの部屋です。広い居間に、寝室、トイレシャワー、小さな台所もついていました。
同じ建物の、大家さんが違うまったく同じ広さに部屋も、たまたま見ましたが(10か所くらい見たか)、そこは窓は小さいし、4ベッドルームみたいに細かく間仕切りしていて、全然魅力的ではありませんでした。大家さんのセンスがよかったのです。家具付き、冷蔵庫・扇風機付き、電気代、水道代込みでした。
ODA関係の日本人の借りている家の家賃の20分の1の値段で、ずっと素敵でしたよ(^^♪私は「シハヌーク殿下の部屋より快適」と、大家さんに言っていました(笑)。もちろん王宮に行ったことはないけどね。
手捺染、動画も見たのですが、いまいちよくわかりませんでした。手持ちの手捺染の手ぬぐいを見ると、ほぼほぼ裏まで色が通っているけれど、単色だったりするからでしょうかね?

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hiyocoさん
結婚式は、確か新郎の家族、親戚、友だち一同が、新婦の家に贈り物を持って行列しているのだと思います。
1日で披露宴まで終わる人もいるけれど、3日ぐらいやると、1日目で参加していることに飽きてしまいます(笑)。