確か葛飾北斎の漫画本があったはずと探していたら、それは見つからなかったのですが、その昔、夫が畑總一さんからいただいた、雑誌『SD』1973年2月号を抜刷した「キクラデスの集落 畑總一のフィールドノートより」という薄い冊子が見つかりました。
久しぶりに目にして、こんな所に住んだら何と楽しいだろうとワクワクしながら眺めたことを思い出しました。
キクラデスとは、ギリシャの小さな島々のことです。
写真ではなかなか伝えきれない街並みを、畑さんは素晴らしいスケッチで表していらっしゃいます。
私もガーナで不定形な家を実測したことがあるので、不定形な家の実測の難しさは、ちょっとだけ知っています。でも、ガーナは土地が平らだったのに比べて、キクラデスは起伏が激しいうえに、どちらを向いても不定形なのに、よくぞこんなに絵にできるものだと、感心してしまいます。
パレスチナのエルサレムの旧市街に初めて行ったとき、このキクラデスと同じような空間を体験することができて、心躍りました。エルサレムの旧市街は起伏はそうありません。ベツレヘムの旧市街はもっと起伏があって、もう細い小路を曲がるたびに驚かされ、ため息が出るほど嬉しかったのを思い出します。ベツレヘムもとくに階段が素敵なのです。
畑さんは、キクラデスの島々の生活の基盤もしっかり押さえていらっしゃいます。
井戸や風車から、長年かかって積み上げられた生活であることが伝わってきます。
あれから半世紀、車やスマホのグローバル社会の今日、キクラデスの人々はどうされているのでしょうか?
4 件のコメント:
階段が印象的な街なのですね。
階段って奥がとても深いと常々感じていて、特に屋外階段はそれで全体の印象が決まってしまうような主役級のものに思います。
蹴上がりや踏みしろの寸法、踊り場の配置、進行方向など設計した人の感性が伝わってきます。
特に垂直ではない斜面に付けられた階段は難易度も上がり、見ていて面白いものですが、国内の公共施設には考えを凝らしたものが少ないのが残念です。
かきつばた
かきつばたさん
狭いところ、しかも起伏のある不定形な所に固まって住もうとすると、造形的に面白いことになってしまいます。そこが島と塀に囲まれた街の旧市街と似ているんだと思います。階段とか渡り廊下、室内も見たことがないのに懐かしくて心臓をつかまれてしまいます。
日本だと昔の漁師町が面白いですね。祖母の実家が漁師町にありましたが、裏にすぐ山が迫る場所に海に向かった間口が狭くて奥行きが深い家が建ち並び、細い小路が海に向かっていて。
今でも残っている漁師町もあって、京都府の伊根(https://koharu2009.blogspot.com/2023/11/blog-post_4.html)は見事だったし、琵琶湖の沖島()https://koharu2009.blogspot.com/2022/01/blog-post_15.html)は、とっても懐かしかったです。
春さん
沖島は行ったことがありませんが、伊根は良いところですね。船と一緒に暮らせるというのは波が穏やかな場所ならではですね。
そんな伊根も近年はオーバーツーリズムで大変だと聞きます。
漁師町といえば瀬戸内の島々などには多く残っているのではないでしょうか。昔、居たことがある淡路島の岩屋はそんな雰囲気がありました。橋ができて変わったかもしれませんが。
漁師町、農業集落、温泉街、鉱山都市などありますが、漁師町は暮らしに必要なものがコンパクトにまとまっていて暮らしやすいと感じます。
漁師町にはなぜかたいてい銭湯があったりしますが、中には島根県の温泉津のように漁師町+温泉+日本海という恵まれた場所もあったりして楽しそうです。
かきつばた
かきつばたさん
私の長く瀬戸内の島には行っていませんが、橋ができて全然景色は違っているのでしょうね。漁師町は朝は競りが開かれて、競る声が響き渡るのが懐かしいです。
沖縄は本島しか行ったことがありません。本島は海岸線近くに道路が、自然の形を無視してつくられていて、とても残念な気持ちがしました。ほかの島々の美しさは耳にします。五島も、映像でしか知りませんが、昔ながらの漁村があるようですね。
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