2013年1月2日水曜日
お平椀
「お雑煮はどんなお椀で食べようかな」
と食器棚を見て、お正月らしいのはやっぱり正法寺塗りのお平椀(煮物椀)だなと手に取りました。
大ぶりで、華やかで、たっぷり入って、申し分ありません。
正法寺塗りは、岩手の塗りものです。
もともとは、単色だったようですが、いつごろからこんなに華やかになったのでしょう。
ケヤキの木目を、きれいに見せているのが特徴です。
新しい、漆塗りの製作者の方たちごめんなさい。この正法寺塗りは骨董市でがんこさんから買ったものです。
五客で、新しいお椀を一客買う値段の二分の一から四分の一のお値段でした。ということは、新しいもの一客分のお値段で、二十客も買えるという計算です。
そうでなかったら、手元にはなかったものです。
小さい頃、月に一度、集落内の各家庭で持ち回りで開かれていたお大師講に、祖母の代理で何度も行かされました。祖母はそういうことが苦手、孫の私は否応もありませんでした。
おかんき(御看経、お経を唱えること)のあと、精進料理が振舞われましたが、お膳には必ずお平椀がついていて、甘辛く煮て、おろしショウガをを乗せた厚揚げが、大きいままで、汁を張って盛ってありました。
大人に交じって、いつも子どもは一人だったので話すこともなく、早々に食べて、暗い夜道を駈けるようにして家に向かったものでした。
もっとも私が幼少時代を過ごした岡山は岩手からは遠く、どの家のお平椀も輪島塗の朱色の、もう少し小ぶりのものでした。
ちなみに我が家のお雑煮は、祖母の生家の、瀬戸内海漁村風です。
こうやって、お雑煮の流儀は拡散し、日本国中のお雑煮の分布は複雑を極めているのでしょう。
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2 件のコメント:
明けましておめでとうございます。
お正月らしい華やかさの中にも
自然の力を感じさせる素敵なお椀ですね。
お椀一つに手にしても、
お雑煮や、飾らない「田舎のご馳走」(昔、母の実家の方で勧められた、大きいままの厚揚げやこんにゃくが、そう呼ばれていたのを思い出しました)など、
料理や暮らしの記憶に結びつきますね。
今年もどうぞよろしくお願い致します。
hana-ikadaさん
あけましておめでとうございます。
素朴で華やか、確かに、正法寺塗りはそんなお椀です。
蓋つきのお茶わんやお椀は、持っていても最初から蓋を使わないことも多いのですが、改まった時など、気分を盛り上げてくれます。
今年もよろしくお願いします。
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