子どもが食事するとき、胸がつかえるようなら、ひねり鳩を食膳に置いておくと、つかえが取れると言われていたそうでした。
ところが、ひねり鳩のお話は残っていても、実物はなかなか残っていないそうです。
というのも、この鳩は土を指でひねって身体をつくり、嘴と両足、そして尾の竹ひごや経木を差し込んで乾燥させ、そのまま胡粉や泥絵の具、あるいは染料で着色したものなので、とても脆いものだったのです。
このひねり鳩は、いまどきさんが再現なさったものです。
乾燥させただけの土は脆いので、いまどきさんはあらかじめ孔を空けておいた身体を素焼きしたあと、細く割った竹ひごや経木を差し込んで彩色するという方法をとられています。
前にも書きましたが、いまどきさんは東京の土や当時の顔料、膠などにこだわって土人形をつくっていらっしゃいます。
手びねりですから、どれも形が違います。
身体の大きさがわずか2センチほどですが、江戸土産として人気があったのがうなずけるかわいさです。
こんなかわいい鳩を貰ったら、子どもたちはずっと握りしめて離さず、そしてすぐ壊してしまったことでしょう。
江戸の生活をかいま見ることのできる、ひねり鳩でした。
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