2022年5月18日水曜日

ままごとの箕

骨董市で、いつも江戸時代の古伊万里など、美しいけれど高価な品ぞろえの、MKさん、いったいどうした心境の変化か、100円、300円といった安い雑貨やお皿をいろいろ取り揃えて並べていました。


その中に、ままごとの箕がありました。縁はラタン、幅が12センチほど、ヴェトナム製ではないかと思いました。
というのは、薄い竹ひごで、きれいに編まれているのですが、


平らに編んだ竹のシートを切って、接着剤で貼り合わせて、箕の形をつくっているところに、なんとなくヴェトナムらしさを感じてしまいます。
かつてヴェトナムには、ものすごく手の込んだ細工なのに、接着剤がべたっとはみ出しているとか、せっかくの力作をニスでてかてかに塗って台無しにしているとか、ちょっとしたことで「がらくた」になった残念なものがいろいろありました。今はどうでしょう?


おもちゃの箕は他にも持っていたはずと、棚を探すと、昔タイで手に入れた箕がありました。
タイの農村とのつき合いが長い私ですが、思い起こしてみても、タイの田舎で箕を見た記憶がありません。ラオス、フィリピン、カンボジア、バングラデシュやマレーシアでも見たのに、タイでは見ていません。
箕の形に似た、土や小石を運ぶための「もっこ」ならよく見ましたが、もっこは運びやすいように両側に取っ手がついています。


『THAI FORMS』に、箕が載っているかと開いてみましたが載っていません。


ではと、『Museum of Folk-Culture』を見るとありました。


タイの箕は、カンボジアやフィリピン同様、いわゆる「箕形」の箕ではなく、丸い箕でした。


これはタイ北部の山地に住むモン人の農具セットのミニチュアですが、箕は「箕形」をしています。
ということは、ままごとの箕も、モンなど山地に住む人たちのつくった箕だったのでしょう。


接着剤を使ったりしないで、丁寧に箕の形に仕上げてあります。


小さな籠は、中には大きなものより手間がかかっていそうなのもありますが、子どもの想像を広げる、素適なおもちゃです。
いつまでも、すてきなままごと道具をつくり続けて欲しいものですが。







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