2023年5月28日日曜日

『インドの大道商人』

たった1本の歯のために、暮れから歯医者さんにもう半年通っています。
治療済みの虫歯が痛んで診てもらうと、いわゆる神経はすでに取っていたのか、歯に開けた穴を掃除して、薬を詰めて、残っている神経(?)を殺す治療がはじまりました。
ところが、治療していただいたらしばらくして傷みだし、顎や頬も腫れたりして、痛いときは当日でも診てもらえるので行くと、薬を詰めて蓋をしているところが膿んで痛んでいるとのことで、蓋を外してもらうと痛みは治まります。蓋をしないで放置してはいつまでも治療が進まないので、しばらくしてまた穴の中を掃除して薬を詰めてもらい、蓋をしたら痛くなるということを、2、3回繰り返しました。
歯医者さんでは、2週間から20日おきに診てもらえます。ところが、歯医者さんの近親者に新型コロナ陽性者が出たり、私がコロナ陽性になって予約をキャンセルしたり、一度は予約時間を逃して、2週間後に予約を取り直したりしているうちに1本の歯で半年も経ち、やっと薬を詰めて蓋をしても痛くならなくないところまでこぎつけました。

歯の治療をしているときは、よくネパールで見た路上の歯医者さんを思い出します。地球上には歯は抜く以外治療法がない地域も多いのですが、抜いてくれる人がいると助かります。私がネパールで見た歯医者さんは、経験者であるという証拠を見せるために、これまでに抜いた歯をうずたかく積み上げていました。


同じように抜いた歯を積み上げた歯医者さんの写真が、『インドの大道商人』(山田和著、平凡社、1990年)という本の中にあります。


左の方に抜いた歯の山が見えます。
うろ覚えですが、私がネパールで見た歯医者さんは、もっとたくさんの歯を積み上げていたような気がします。
これはラジャスタン州ブンディーの50歳の歯医者さん、この地で歯医者を30年やっているそうです。


『インドの大道商人』には、もう一人歯医者さんの写真がありました。
私の見たネパールの歯医者さんも、この写真の後ろに見えるような大きな歯の看板を出していました。

『インドの大道商人』には、おもしろい路上の商人がいっぱい載っています。


サトウキビジュース屋さんは、東南アジア諸国でもおなじみですが、苦い思い出があります。
サトウキビジュースは搾る機械が錆びていて、搾りかすが取り切れないのでそこに細菌が繁殖しているのでお腹をこわしやすいと知っていたのですが、カンボジアに長かった日本人のMさんと田舎に行ったとき、Mさんがサトウキビジュースを飲むというので、私も大丈夫だろう飲んで、下痢するだけでなく熱も出したことがありました。重い腸チフスではなく赤痢だったと思われます。
サトウキビジュースはとってもおいしいのですが。


揚げものは、どこで食べても、まずお腹をこわすことがありません。
これはトウガラシのてんぷらと、ジャガイモのてんぷらだそうです。そして、私が見ると食欲をそそられて買ってしまうのは、サツマイモのてんぷらとバナナのてんぷらです。


刃物研ぎ屋さんは、自転車の車輪を利用してグラインダーを回しています。


こちらは鋳掛屋さん。


こちらは刃物屋さんだそうです。
研ぎ屋さん、鋳掛屋さん、そして刃物屋さんがいる社会は、とっても羨ましいです。


こちらは代書屋さんです。


大道商人の中には、女性、子ども、子どもを引き連れた女性もいれば、赤ん坊を抱いた若いお父さんもいます。
『インドの大道商人』の発行からすでに30余年、社会の変貌はめざましいはず、大道商人のほとんどは消えてしまったかもしれません。






2 件のコメント:

hiyoco さんのコメント...

鋳掛屋さんは初耳です。お鍋とかを直してくれるのでしょうか。
サトウキビジュースを搾るやつは要注意なのですね!沖縄の今帰仁城でかなり年季入った機械で搾っていたのですが、勇気出ずに止めました。
路上歯医者、怖すぎるー!ハノイで路上散髪屋さんが何軒か並んでいて、面白いなぁと眺めたけど、インドの足元にも及びませんね(笑)。

さんのコメント...

hiyocoさん
鋳掛屋さんは、私も実際に会ったことがあるような、そしてないような気がするのですが、例えば穴が開いた鍋に金属を突っ込んで、裏表からそれを潰して穴をふさぐような、昔の日本のどこにでもいた修理屋さんです。便利だったでしょうね。
路上散髪屋さんも本に載ってますよ。私も見たことがあります。
面白いのは耳掃除屋さんです。壁に頭を押しつけて耳掃除してくれるのですが、きれいにして行ってもまさかと思うほど耳垢が取れるそうです。絶対やってもらいたくない(笑)。