2026年4月1日水曜日

回文(かいぶん)

3月3日に、漫画家のつげ義春さんが亡くなられました。
つげさんの漫画には長く親しんできたので、久しぶりに読み返して自分なりに追悼しようと、代表作がいろいろ載っている分厚い文庫本を探してみたのですが、見つかりませんでした。おおかた、飾り棚の下の奥行きの深い戸棚に放り込んでしまっているのでしょう。探すのは面倒です。


その代わりに、長く探していた『またたび浴びたタマ』(村上春樹著、文芸春秋社、2000年)が、文庫本に交じっているのを見つけました。
「こんなに小さい本だったのか!」
もっと大きな本だったと勘違いして、別の場所を探していました。

『またたびを浴びたタマ』は、五十音全部(44個)が回文になっている、かるた仕立ての本です。
あとがきで、村上春樹さんは、2000年のお正月に仕事を全部休むことにした。でもワーカホリックで手持ち無沙汰でしょうがないので回文をつくることを思いついた。35くらいはすいすいつくれたけれど(ここでもう、驚異的!)、あとがつくれなくてうんうんうなったり、思い浮かんでにやにやしたりした。と書いています。
最初のあいうえおだけ紹介してみます。

ありばいがにがいばりあ

イラストは友沢ミミヨさん

アリバイが苦いバリア

どの回文にも1ページの解説がついているのですが、「あ」には、平尾刑事と湯川部長が犯人高橋のアリバイについての会話しています。

いらぶしまがらがましぶらい


伊良部、縞柄が増し、無頼

これは伊良部投手が、ロッテ・マリーンズから、もっと縞の数の多い(かどうか)ユニフォームを着たくて、ニューヨーク・ヤンキーズに移籍したとの解説があります。

うらわでまいたはははとはははたいまでわらう


浦和で蒔いた、ははは、と母は大麻で笑う

ええがたがええ


A型がええ

おかしななしかお


おかしな梨顔

小さいころ、雑誌などで見かけた回文は、「トマト」「しんぶんし」など短いものばかり、長くて「わたしまけましたわ」くらいでした。
ところが、『またたび浴びたタマ』に載っているのは長くて、しかもくすっと笑えるような回文が満載です。

村上春樹さんの小説は、読み始めても、読み切ろうと努力しても、最後まで読んだのは1冊もありません。正直、嫌いです。ところがエッセイは好きで、何冊も読みましたが、この回文も気に入っています。







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