2021年12月1日水曜日

年月を経て不備だらけの織物道具たち


私の糸紡ぎ車は、かつて織物を教えてくださったF先生がノルウェーで織物を習われた関係で、ノルウェーから個人輸入していただいたものです。
今では、織物を習える場所はたくさんあるようですが、1960年代には、織物を教える場所は倉敷の民藝館くらいしかなく、そこは1年間住み込まなくてはならず、定員も3、4人でした。また、女子美術大学をはじめ、各大学にも学科として織物を教えるところはありませんでした。そのため、F先生はノルウェーに留学されていたのでした。
F先生のことを紹介してくれたのは、大学の同級生のくまちゃんでした。私は家族でタイに移住したことなどから織物は続けませんでしたが、くまちゃんはその後、大学で織物を教えながら立体的な織物をつくり、それがたくさんの公共施設やホテルのロビーなどを飾った、時代の売れっ子となりました。


さて、西欧の糸紡ぎ車の原理はどれも似ていて、写真の左の糸が大きな車(はずみ車)を回すもの、右の糸が、ボビン(糸巻き)を回して、撚りをかけた糸を巻き取っていくのですが、私の糸紡ぎ車は、ボビンが軽く回らなくなってしまっていました。


外して軸棒の錆を取ったり、ボビンの穴の中に棒やすりを突っ込んで磨いてみたり、双方に蝋を塗ってみたりして、少しだけスムーズになったのですが、まだ硬めです。


軸棒に差したまま放置していたボビンより、予備のボビンはもっと固く、力を入れなくては差し込めません。
年月が経って、木が乾いて縮んで、ついでに穴も小さくなったようです。穴の太さは5ミリなので、5.5ミリのドリルで穴を大きくしたらどうだろうと考えているところです。


カーダーにも問題がありました。
当時はステンレスはまだメジャーではなく(高かったのかな?加工技術が伴っていなかったのかな?)、私のカーダーの針(歯?)や筬(おさ)など鉄でできています。そのため、すっかり錆びてしまったのですが、問題はもっと深刻でした。


特殊な紙のようなものに針を植えつけて、それを上下は金属で、両脇は革で木の板に留めてあるのですが、下地が波打ったために針の先も波打って、これでは原毛を滑らかに整えることができません。
釘を抜いて、下地をお湯に浸すと真直ぐになるのではないかと考え、試してみましたが、錆びついた釘はどうやっても抜けません。そうこうしているうちに、下地が痛んでしまいました。無理のようです。
いつも用心して、先へ先へと買っておく私のこと、3組もカーダーを持っていたのですが、すべて使えません。どうやらカーダーは新しいものを買わなくてはならないようです。

手前は私の紡ぎ車。Eさんのは台が傾いている

ご一緒に習っているお仲間は2人です。
Eさんは、糸紡ぎ中、


Oさんは、長い布を織っていらっしゃいますが、ほぼ終わりが見えて来たとのことでした。原毛を染めて、それを紡いで糸にして織りあげた時間の長さ。
サトクリフなどの物語の中の女性たちが、いつもいつも錘(つむ)を回したり織り機の前に座って家族の服をつくったりしているのとは切迫度が違いますが、長い時間が必要です。







4 件のコメント:

af さんのコメント...

つむぎ、違いですが…
今年の女の子の名前のNo.1が紬ちゃんだそうです。
なんでもかんでもファスト化している中、とても意外な感じです。が、子どもを持つような若者はそうでもないのかなぁとか。
https://www.google.com/amp/s/www3.nhk.or.jp/news/html/20211129/amp/k10013365921000.html

さんのコメント...

akemifさん
私もテレビニュースで蓮と紬が1位というのを見ました。
はっきり言って、訳が分からないです(笑)。どこから出てきたものやら。男女2位の陽翔、陽葵に至ってはもっとわからないです。何かのキャラクターなのかな?

af さんのコメント...

物知りの春さんでも、訳がわからない・・・笑
もちろん、私は、チンプンカンプン、それでなくても名前を覚えるのが苦手になってきてるのに、
全くもって覚えられる気がしない名前がぞろぞろです。
学校の先生は覚えられるのでしょうか・・・

さんのコメント...

akemifさん
学校の先生は困るでしょうね。字と読みと関係なく好き勝手に名前をつけて読ませているようだから(笑)。
今日ラジオできらきらネームのことを取り上げていて、せっかく親が「翔」とか、「宇宙」などという大きな名前を付けてくれたのに、おれおれ詐欺の受け子などででつかまっているのを見ると、「親が泣いているだろう」と思ってしまうと言っていました(笑)。