この絵は、フョードル・ソルンツェフ作の「食事をする農民の家族」(1824年、モスクワのトレチャコフ美術館所蔵)という絵です。
最近、伝統的民族料理であるボルシチが、ユネスコによってウクライナの無形文化財に指定されたということがありました。政治的な匂いもするこの決定、ボルシチについて検索していたら、この絵に行きあたりました。
題名は「食事をつくる」ではなくて、「食事をする」家族になっています。何をどう食べているのかと思いながら見ていて、すっかり絵に引き込まれてしまいました。
お母さんが来ているブラウスは、ウクライナの民族衣装に似ています。もしかしてウクライナ人の家族でしょうか?
壺にはボルシチが入っているのか、これからボルシチをつくろうとしているのか?ボルシチは名前こそいろいろですが、スラブ民族の間で広くつくられる家庭料理です。
木の箱は塩入れに見えます。
左端の男性(大きい息子?)がナイフと一緒に持っているのは、野菜でしょうか?野菜だとしたら大きなカブ?
テーブルの上にある野菜たち、上がネギで下がカブのような野菜は何でしょう?これだけの描写力のある画家さんだから、こんな野菜が実際にあるに違いありません。
そして、右の男性(お父さん?)はいったい何をしているのでしょう?膝の上にあるものは何?右手に持っているものは何?
興味津々です。
2022年2月24日にはじまったロシアのウクライナへの一方的な攻撃には、いまだ終了の糸口がまったく見えません。
ウクライナは、侵略が長期化して、イスラエルがパレスチナに侵攻したときのように、国際的な関心が薄れ、忘れられていくのを恐れています。
何もできることがないことに折れてしまいそうになりますが、せめて関心だけは持ち続けていたいと思います。
袖の刺繍は黒、袖口の刺繍は緑、襟ぐりの刺繍は青、
裾の刺繡は黒と白、地味なソロチカです。
着ようと思いながら、なかなか簡単には着られません。
というのも、頭のてっぺんからつま先までのコーディネートあっての民族衣装だし、
私が着たってお笑いものだし、そんなことで連帯を示そうとしても誰にも通じないし。
何もできないけれど、ときおりソロチカを眺めている私です。
何もできないけれど、ときおりソロチカを眺めている私です。
13 件のコメント:
お父さんは靴を治してるような気がします。左端のお兄さんは、その靴のカカト部分になる木を作ってるような…。、そして、木箱は靴のための道具箱では…。hiyoko探偵さんの推理はいかに…
私の推理だと、男は食事の準備に全く関与してないことになります。うーん…
おはようございます。
左の男性が持っているのはライ麦パンかも。ロシアやウクライナでよく食べる黒いパンですね。テーブルに置いてある野菜はエシャロットのようなネギ類で、その根のように見えるのは何かの道具で、野菜とはつながっていない別の物だと思います。
右の男性は、やはり靴を作っているか、直しているかしているようです。
ロシアビヨンドというロシア政府系サイト(?)の日本語版では、絵のタイトルが「農民の家族は昼食前」になっています。そちらの方がしっくりきますね。
ロシアビヨンドは書き方はちょっとふざけていますが、内容はへぇ~って感じです。翻訳の問題かしら?
https://jp.rbth.com/cuisine/82894-roshia-no-nomin-ga-tabeta-omoikiri-hentekona-tabemono
afさん
あっ、靴かぁ。丸くて小さい木のお皿と数珠だとばかり思っていました。
言われてみれば、靴以外の何ものにも見えませんね(笑)。
それにしても、何で食卓で靴をなおすところを絵にするの?お母さん、怒っているかな?
かねぽんさん
パンかぁ、考えてもみませんでした。先入観は恐ろしい!
それでも、ちょっと変に曲がっていません?
この家族、バラバラですね(笑)。
hiyocoさん
ありがとう。「農民の家族は昼食前」だったらしっくりきます。
それにしても、お父さんとお母さん、何を話しているのでしょう?
「肉がないから、その靴の底を煮る?」
「そんなことはできないよ。畑で困るだろう」
「冬が来るまでは、裸足で働けばいいじゃないの」
「そんなことはできないよ!」
「じゃぁ、何を食べればいいの?」
hiyocoさん
ロシアビヨンド、面白いです。
とくに、アンドレイ・レムネフという人の絵、すっかり見入ってしまいました。
https://jp.rbth.com/arts/86451-renaissance-kaiga-to-icon-wo-yuugou-shita-roshia-gaka
食事前なんですね。
お母さん「もう、これしかないのよ。次に街に行ったら買ってきてください」
小さい子「うわー、こんなちょっとになってる〜」
お父さん「わかった、この靴が売れればかってこれるさ」
大きい子「いつになったら、腹一杯に食べられるようになるんだろう。こんな生活しかないのか…」
春さんの靴の底を煮るっていう、仮説に妙にライバル意識が芽生え、考えてみました。
どっちにしても貧しいなか、小さい子だけが無邪気にしてますね。この兄弟何歳差なんだろう…
食物に豊かなウクライナの土地が欲しくなるのは貧しさからでしょうか。
こんばんは。
ウクライナとは関係ない話ですが、今ヤフオクを見ていたら、だいぶ前に春さんのブログで知った「駿陽飲料株式會社」のガラスびんが出品されてました。
画像をよく見ると矢車のようなマークが確認出来るものの、他に会社について知る手がかりはないようですが、何か参考になればと思い連絡させて頂きました。
値段もそこそこするようです。
afさん
そう読み解くと、悲惨さが増しますね(笑)。
でも、この絵は好きです。
ロシアがウクライナが欲しいのは、地下資源大国となった今では、食糧の確保ではなく、NATOへの恨みや怒り、過去の栄光、ウクライナへの近親憎悪など、いろいろあると思います。黒海へのアクセスも、友好的にやれば何でもないことでしたし。
私たちに引き付けてみても、尖閣諸島も竹島も仲良くやればいいのに、固有の領土と言い張って無駄に角突き合わせていますし。
かねぽんさん
ヤフオクで見つけられないかと思ったら見つけられました。3本一緒に出品されていたやつですね?でも、矢車のようなマークは、目を凝らしても見えませんでした(笑)。
かつて、白髪染めのビンを調べている人で、ネット検索の得意な人を紹介したことがありましたが、私はとてもとても、検索べたは自認します。
ビンは好きですがきりがない(笑)。自分で発掘するならともかく、無理。このところは、集めるのは染料ビンに限っています(まだ、やってるんかいという声が聴こえそうですが)。水飴のビンも好きなのですが....
情報ありがとう。
作者のフョードル・ソルンツェフの経歴を見てみると、モスクワの北東のヤロスラブリの出身なので、ウクライナ人を描いたものではないかもしれませんね。
ソルンツェフは親が農奴で彼もそこで暮らしていましたが、師(?)に絵の才能を見出されてアカデミーに入学、1824年の「Peasant Family」で賞を取ったのちにアカデミーの教授になったそうです。皇帝の支援を受けてクレムリンの装飾に携わったり、ロシアの古典文化(服とか)を絵に残す仕事をしたとのことでした。賞を取ったのがこの絵なのかどうかは不明ですが、同じ年の農民がテーマなので違ったとしても似たものだったのではないかと思います。ロシアにもそんなサクセスストーリーがあったんですね!農奴って初めて知りました。
https://en.wikipedia.org/wiki/Fedor_Solntsevを自動翻訳してかいつまみました(笑)。ウクライナから離れてしまってすみません。
レムネフの絵はアンリ・ルソーやルネ・マグリットを連想しました~。
hiyocoさん
ロシアとウクライナは300年も同じ国だったとか、フョードル・ソルンツェフが何系だったかは、私にはちょっとわかりません。ただ、いろいろな民族グループが入り乱れていたのではないか、教えていただいたサイトには彼がポーランドの農民を描いた絵というのが載っていました。
確かにフョードル・ソルンツェフ一家が地主から解放されたというのは、珍しいサクセスストーリーだったかもしれません。絵が小さいころからずば抜けて素晴らしかったのでしょうね。
私は四十の手習いで人類学を学びましたが、「タイ農村の変容」をテーマにしていたので、人類学者たちの書いた、「Peasant○○」などという題名についた本もいろいろ読みました。それで、pesantは貧しい農民くらいに思っていたのですが、peasantは農奴で、farmerと違って、まったく意志を持たない人たちと知りました。
というのも、教授の話の中に、アメリカにホームステイしていたとき、「この辺りには雉(pheasant)がいますか?」とホストファミリーに訊いたら、訊き間違えて「アメリカには農奴(peasant)はいない」と強く言われたというエピソードを聞いたからでした。
そういう意味では、西洋人の学者たちが、見るからに貧しそうな東南アジアの農民たちを見て、peasantと記したとしても、アジアには農奴は一人もいません。みんな小農ではありますが、見かけほど貧しくもないし、意志を持って農業経営をしている人たちです。
というわけで、私には農奴は忘れられない言葉でした(笑)
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