2015年6月20日土曜日
錆びた道具たちに思う
瓦屋さんに行く用事がありました。
広いコンクリートの庭で雨ざらしになっているのは、鉄筋を曲げる道具たちでした。
これは、我が家にもあります。
丸い突起が二つ、四角い突起が一つありますが、四角い突起と手前の丸い突起に沿わせて鉄筋をはさみ、ハンドルを時計回りに動かすと、鉄筋が曲がります。
もう十年も前に、私が鉄筋を曲げていた写真です。
これで何千回、何万回曲げたことか。
鉄がすり減って、母屋が完成するまでに、二台使い切りました。
柱にはもちろん、コンクリートの壁にも、横にも鉄筋を入れるだけでなく、角には強化するために、四角く曲げた鉄筋を入れています。
小さいものですが、一本につき5回曲げなくてはなりません。
約20センチ間隔で入れましたから、日がな一日鉄筋を曲げる日もありました。
コンクリート工事はいつも、あまりに時間がかかりすぎたため、雨ざらしの鉄筋はすっかり錆びてしまいます。
いつだったか、友人が遠くから連れてきた、DIYに詳しいという初対面の人からいきなり、
「だめじゃないですか。鉄筋をこんなに錆びさせちゃあ」
と叱られたことがありました。
じゃぁどうしたらいいんですかと、こちらが聞きたいくらいでしたが、錆びた鉄筋に呆れたのか、その人は二度と来ませんでした。
これは、今は完成している母屋の居間の基礎部分です。
やはり同じところ、下の方は鉄筋を組み終わり、型枠で囲んでいます。
工事は着々ではなく、遅々として進んでいるのですから、鉄筋のさびは防ぎようがありません。でも錆びるのは表面だけで、コンクリートに覆われてしまえば、錆びも止まります。
敷地に高低差があるために、別々に工事をしてきた母屋の、居間とそれ以外の部分が、つながるときが来ました。
上の写真はその上の写真と同じところ、つながっています。
右に立っている鉄筋は、台所や風呂、お手洗いなどの水回りですが、これからも、鉄筋曲げは延々と続いたのでした。
青く見えるのは断熱材で、床下のコンクリートをOMソーラーの蓄熱板にするために、下から冷気が伝わらないよう、断熱材でいちいち縁を切っています。
そして、この部分のコンクリート打ちが完了したところです。
居間の基礎となる地下室を西から見たところで、立っている鉄筋はテラスのための柱です。
というふうに、鉄筋曲げ工事は、このあともいつまでもいつまでも続いたのでした。
ところがです。
母屋はそうやって全部手で曲げましたが、作業棟を建てるときは、新兵器を導入しました。簡単な電動曲げ機を買ったら、すっかり力仕事ではなくなったのでした。
瓦屋さんの転がっていたもう一つの道具は、曲がった鉄筋を伸ばす道具です。
これが欲しいと思ったことが、何度もありました。
一度曲げた鉄筋は、曲げ機を使って伸ばせません。この道具を立てて、その穴に鉄筋を突っ込み、重い金づちで叩いて伸ばすための道具です。
そんな道具ですから、重いのが特徴です。どのくらいあるのだろう?少なくても50キロはあるでしょう。 5キロ以上のものを持てない身体になった今となっては手に負えません。
まあ、間違えて鉄筋を曲げないことに尽きます。
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4 件のコメント:
懐かしい道具たちですね、
炭鉱閉山後は鉄鋼関係だったので、、、
伸びや歪取りが勉強になりました。(特にパイプの場合)
今はいい治具がありますからねー
リベット打ちの職人さん、トビ職の小父さん
それぞれ名人芸でした。
昭ちゃん
今でも鉄細工の人たちの工房には、こんな道具たちが転がっていますよ。私も、学生時代はなんと鋳金を専攻していたので、大きいものの焼き型をつくるときは、あの穴の空いた、もっと大きいやつで四苦八苦しながら鉄筋を複雑な形に曲げたものでした。
型を焼く日には温度を上げるため長時間焼かなくてはならないので、始発で出かけ、校門はまだ閉まっているので塀をよじ登って入り(笑)、火をつけていました。そして一日中、火の番をしているので、灰除けの帽子をかぶっているものの、全身煤で真っ黒け。でも、型も地金もいい具合に温度が上がって、きれいに鋳込めたら、もううっとりでした。もっとも、その後も鋳口やバリを取ったり磨いたりと、まだまだ過酷な日々が待っているのですが。
考えてみると、若い頃から、優雅な生活とは程遠かったです(笑)。
うちの前で今家を建てる工事をしているのですが、その基礎作業の時、鉄筋曲げ機を使って、職人さんが鉄筋をウィーンと曲げていました(電動です)。あの硬そうな鉄筋が直角に曲がり、へー!そうやって曲げるのか、よくできてるなあ…、としばらくこっそり見てました (^^)。この写真にあるような単純そうな道具でしたが、それにしても、鉄筋を曲げるということに特化した機械で、きれいにちゃんと曲がるので感心して見てました。
karatさん
人力で曲げる機械は、1ヶ所だけ曲げるのは問題ないのですが、例えば5ヶ所曲げて完成したものが平面でないとまずいとすると、一人では曲げることができず、一人が鉄筋を支えて一人が曲げるという方法で曲げました。ということは、夫との共同作業で、来る日も来る日も鉄筋を曲げていたということです(笑)。
それに、直径13ミリの鉄筋(大半は10ミリ)となると、ハンドルにさらにパイプを継ぎ足して長くして力を大きくし、大きい円周を歩いて曲げていました。よく歩いたなぁ(笑)。
電動の曲げる機械は小さいものですが、スイッチを入れると曲げてくれます。ただし他のことを考えたりしていると、90度曲げればいいのに、あっというまに120度くらい曲がったりして、そうなると、元に戻りません。スイッチを離すタイミングが重要になってきます。
まあ、どっちも楽しいと言えば楽しいですが(笑)。
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