2015年6月25日木曜日

蚊取り線香立て


ブリキの蚊取り線香立てです。
室内では蚊取り線香は必要ではありませんが、外仕事をするときは、やっぱ焚いていると安心できます。
朝方はブヨがいて、木陰には藪蚊がいます。
なかでも一番嫌いなのはアブ。すっぽり肌を覆っていても、衣類の上から刺します。そして、刺し跡の痒みが何日も続きます。

タイのお坊さまは戒律を守って殺生はしませんから、蚊に刺されても叩きつぶしたりしません。せいぜい追い払うくらいですが、追い払ったくらいで逃げる相手ではないので、刺しまくられてしまいます。
以前、日本人のお坊さまがタイ東北部の山深いお寺の住職になって、壁のない、もちろん電気もないお寺で暮していらっしゃいました。最後にお会いしたのは、もう20年以上前です。
今はどうしていらっしゃるのでしょう?

タイのお坊さまは、食事は喜捨されたものだけ食べます。
自分で調理することができないので、そのお坊さまは、雨季に大雨で一本だけの橋が流されると、村の人たちが橋を修理してくれるまで托鉢には行けず、水以外は数日間何も口にできませんでした。
早朝に喜捨された食べ物は、二回に分けて食べるよう、寺小僧が給仕してくれます。
お坊さまは俗人と会食することはできず、正午を過ぎると食事を摂ることはできません。

その日本人のお坊さまが、所用でバンコクに出ていらっしゃるとき、「どこそこのあの」ケーキが食べたいと所望されたことがありました。
普通、お坊さまは食べたいものを欲しがったりすることはできません。それどころか、戒律の厳しい戒派では、喜捨されたものの味を味わったりしないよう、辛いものから甘いものから、ごちゃごちゃに混ぜて食べなくてはなりません。
だから、日本人のお坊さまがケーキを欲しがったことは、タイ人にはもちろん絶対秘密、日本人でさえ、知っているのはわずかでした。

ケーキを所望されたからといって、そのお坊さまが軟弱者というわけではありません。
数ヶ月間だけ、僧門を経験してみようと得度されたらしいのですが、知り合ったときには、すでに10年以上もお坊さまをしていらっしゃいました。


さて、蚊取り線香立てはフィンランド製、無駄のない形で、美しいたたずまいです。
蓋は持ち手の邪魔にならないように、外にかぶせるのではなく、内側に入れるようにできています。


蓋は、とても閉め易いものです。
そして、持ち易くて、洗い易い。
フィンランドの職人さんの手仕事だとのことですが、使うのが楽しい蚊取り線香立てです。






4 件のコメント:

昭ちゃん さんのコメント...

 今の時期山仕事はブト(ブユとも)との戦いで
腕でも顔でも大きく腫れますからね、
縦走路などどこまでもついてきます。
 坊さんの修行ってすごいですね、
ちょっと般若湯をなんてそれどころか、、、
驚きました。

さんのコメント...

昭ちゃん
ブヨは朝方と夕方だけ、しかも曇天のときですが、抗体ができたのか、次の日には腫れも引くようになってきました。蚊取り線香が必要なのも、曇天の日ですね。
タイのお坊さんはすごいでしょう。でも気持ちが続かなくなったらいつでも還俗していいんです。それはすごくいい制度です。どんなに社会から敬われている高僧であろうと、いったん還俗すると決めたら、誰も何も言いません。もし日本人だったら、何があったんだろうと詮索したり、一気に軽蔑したりするところでしょうね。
お坊さまは間違えても女性に触れることはできませんが、女性がお坊さまから何か(たいていはお守り)をいただいたり、また何か(衣とか)を差し上げたりするときは、直接手渡しできないので、お坊さまが布を出し、その上に乗せてやり取りします。
カンボジアに行って、お坊さまが掃除をしたり、炊事をしたりしているのを見て、腰を抜かしそうになったことがありました(笑)。お隣の国でも、似ているようでも全然違います。
もともと仏教はお寺を持ちませんでしたが、遊行僧はタイで最も尊敬されるお坊さまです。村がなくて食べ物にありつけないところでもただ修行のために歩き、かつて森がたくさんあった頃は、森の中で虎に喰われても恐れなかったそうです。

昭ちゃん さんのコメント...

 修行が終われば?納得?した時点でお寺に帰依するわけですか、
日本の場合はそうですよね。

さんのコメント...

昭ちゃん
遊行僧のことですか?いつまでも彷徨い歩いているみたいですよ(笑)。日本のように期限を切って修行するというのではないみたい。あくまでも自分の涅槃をさがすのですから。

タマサート大学を出てお坊さまになっている方を知っています。かっこいい!もうアイドルのようなお坊さま(笑)。森林保護とか農民運動の精神的後ろ盾のような。そのお坊さまよりもっと過激な森林保護活動をしているお坊さまがいらしたのですが、ずいぶん前に、突然還俗なさってしまいました。どうしているのかなぁ。お二人は日本にもいらして、我が家にも泊っていただきましたが(笑)、還俗なさった方のお坊さまは東京で裸足で歩いていました。目立つよね。
蟻などを踏みつけないために、タイのお坊さまは裸足で歩くのが原則です。