2026年3月6日金曜日

蔓の籠


ヤフーオークションで見かけた、バケツ形でちょっと楕円形の籠です。
蔓(かずら)で編んでいますが、収穫籠なのか、あまり見たことのない材料と形のものでした。値段は安かったのですが、送料の方が高かった、安いものにはよくあることです。


胴は市販の紐で、すだれや菰(こも)のように編んであります。


底は底で、蔓を楕円形に形づくりながら、紐で押さえて編んで、それを胴に取りつけています。
この写真で、胴の下縁の上に紐が見えていますが、この紐で底を胴につなげているというわけです。


胴の編みはじめと編み終わりはきれいに始末されています。
底をつくってからその円周に合わせて胴をつくったのか、胴を先に決めておいて、あとからそれに合わせて底をつくったのか、わかりません。


稲わらで菰を編んだり、竹や萩ですだれを編むときは、1段編むごとに新しい材料を差し入れますが、これは長い蔓を端(縁)で折り曲げながら続けて編んでいるので、長い蔓の長さが足りなくなったときは、端ではなく途中で新しい蔓を継ぎ足しています。


端で折り曲げながら編んでいるため、縁の始末をする必要はなく、縁は美しい仕上がりです。
この籠を出品されていたのは佐賀県の古道具屋さんです。
九州には蔓だけで籠を編む地域があったのでしょうか? もちろん、この籠が九州のものとは限りませんが、竹の手に入りにくい地域でつくられたのかなと思いました。


右のアオツヅラフジのテゴと比べると、その太さがよくわかります。蔓はでしょうか?


蔓は、どんなものでもいいというわけでなく、まっすぐに伸びた、太さが均一なものが必要なので、材料集めが大変です。
この籠は美しく編めているだけに、自家用につくられたものか、それとも売りものとしてつくられたものか、売りものとしてつくられたなら、年中蔓で籠を編む籠師さんがいたのか、それとも冬場の農閑期だけ編んだのか、籠師さんはほかの形の籠も編んでいたのか、などなど想像の広がる籠でした。

追記:

本田さんのご要望に応えて、外側と内側から見た底の写真や、つなぎ目の写真などを追加します。


底は、「これ、あり?」というくらい、紐でからめて形づくっています。


底材の最後の始末。



内部には、うっすら埃がついていますが使用感はないので、使わないで置いていたものと思われます。


節はできるだけ内側に来るように編んで、機能だけでなく美しさも考えていたことがわかります。




 

6 件のコメント:

かねぽん さんのコメント...

こんばんは。
アオツヅラフジに似ていて、もっと太いとなると、同じツヅラフジ科の「オオツヅラフジ」かも知れません。

さんのコメント...

かねぽんさん
教えてくださってありがとう。
アオツヅラフジとオオツヅラフジの画像、いろいろ見てみました。
実際に籠をつくっている人の画像が参考になりましたが、アオツヅラフジとオオツヅラフジは一目見て違いが判ると書いている人もいれば、アオツヅラフジの太いのを芯にして細いので編むと書いていていて、その太さが全然違う人もいて、混同しているのかどうかわかりませんでした。こうなると実際に乾燥したオオツヅラフジを見なければと思いました。
オオツヅラフジ、知らなかったけれどこのあたりにも生えているのかなぁ。世の中、知らないことばかりです。

匿名 さんのコメント...

いつも面白いかごを紹介してくださってありがとうございます。この前の投稿の箕やかご等を含め勉強になります。
ネットでいろんなところのものをご覧になってご存じかもしれませんが、ツヅラフジのカゴはタケの少ないところとは限りません。
https://htq-fs.minpaku.ac.jp/mofull/H0066311-0002?type=detail&connect=AND&cond%5B0%5D.field=object_id&cond%5B0%5D.values=H0066311&cond%5B0%5D.match=CONTAIN&start=0
京都丹後町の資料です。
https://www.tobunken.go.jp/ich/research/monozukuri/otsuzurafuji/
岐阜揖斐川町旧春日村の資料です。九州だと宮崎とか鹿児島とか、縄文時代の遺跡でも九州はツヅラフジ多いです。弥生時代の箕はヤナギとツヅラフジです。民具だとアケビと区別が付けられないものもあります。でもこのようなかごは見かけたことがありません。
もし時間がありましたら、胴の下の方と底の内側の写真を上げていただけませんか。同心円の底をどうやって作っているのかとても知りたいです。
よろしくお願いいたします。
本田

さんのコメント...

本田さん
いろいろ教えてくださって、こちらこそありがとうございます。
籠の底の写真など少し追加しておきました。
教えていただいた動画は、『自然を編む知恵と技 箕』(https://koharu2009.blogspot.com/2024/05/blog-post_3.html)を送ってくださった、東京文化財研究所の今石みぎわさんの調査されたもの、大変興味深く拝見しました。
草刈りしていて、まっすぐ伸びたツヅラフジの蔓などは、邪魔な奴めと切りまくってしまいますが、昔の人は生活に生かすことを考えたのかと、頭が下がります。
縄文のころの籠が身近に生えているツヅラフジ製とは知りませんでした。布がカラムシで織られていたことは、縄文好き、布好きの友人たちとよく話題にしているのですが、籠も布もどちらも朽ちやすい材料でつくられているだけに、発掘や現代の科学技術でいろいろわかってくることが、とても面白いですね。
ちなみに直径は4mmです。

匿名 さんのコメント...

春さま
写真の追加、ありがとうございました。
底をどうやって作っているか理解できました。
底は2本1組でぐるぐる巻いているんですね。いわゆるコイリングという手法の中の一種みたいですね。早速、調べてみようと思います。
実は胴の編み方もよくわかりません。蔓が上下で折り返し編まれているのはわかるのですが、折り返して下へ行くものと、下から上がってくるものが、縁の下では2本1組で編まれています。縁で折り返すとき、2組飛ばしています。胴の2本組は交互に組む相手を変えて編まれています。立ち湧く編みと呼ばれるものです。おそらく編み台を使ってアンギンと似たよう方法で作られていると思うのですが、じゃあ、出だしはどうなっているのか、(少なくとも折り返すときには飛び越す2組(4本)がないととびこせないので)わかりません。
一度、ばらして確かめてみたいとは思うのですが、結構お高いのでそういうわけにもいかず、もやもやしています。
とても格好いいかごですね。
ありがとうございました。
本田

さんのコメント...

本田さん
確かに胴の2本まとめて綴るのは交互になっているのですね、全然気づいていませんでした。ありがとうございます。
編みはじめがどうか、おそらく編んでみたら、「そうか」と腑に落ちる単純な出だしかとも思うのですが、編んでみないとわかりません。やって見られればいいのですが。
そして、古い稲わらのテゴ(https://koharu2009.blogspot.com/2023/06/blog-post_14.html)を見たら、胴の2本組の相手を変えずに編んでありました。材料が短いから、1段ごとに差しわらをするから縁の始末が違うのかどうか、私ももやもやしてきました(笑)。