2025年2月17日月曜日

食の安全を考える

昨2月16日、神奈川県藤沢のエコストアパパラギの2階の集会スペースで行われた、気候危機対策ネットワークの主催の、「急速に変わる食の生産、私たちの食の未来を考える」という勉強会に参加してきました。講師は、古い友人の印鍮智哉(いんやくともや)さんでした。鍮さんは一貫して、食の危機の実情について、発信を続けています。
彼の書いたものを読むと、人間の生命を支える食の現場を支える農業がいかに工業に取り込まれ、安全が軽視されて来たか、慄然とします。


気候変動はCO2排出が問題なだけでなく、工業型農業が大いに関係していると
鍮さんは指摘します。工業型農業は、遺伝子を組み替えたり、殺虫剤や除草剤を多用することで、生物絶滅の危機も招いています。
森が切り開かれて作物生産の場になり生物多様性が失われることや、蜂などの昆虫が激減して、花の受粉がならず、植物が実をつけず種が絶えていくことなどで、このままでは近い将来、第6期生物絶滅期を迎え、200万種の動植物が絶滅の危機を迎えます。
ちなみに、第5期生物絶滅危機ははるか昔、隕石が地球を襲った恐竜時代までさかのぼります。
しかしまた、この状況からの転換の兆しもあると言います。


上のグラフは、アメリカでのグリホサート系除草剤の使用量の推移です。2012年ころまではうなぎのぼりに使用量が増えていますが、だんだん雑草に耐性が出てきて、使っても効果が見られないことから使う農家が横ばいになり、やがて減っているのが見て取れます。それでもグリホサートの使用量は膨大で、アメリカから輸入される大豆やトウモロコシにはほぼグリホサートが残留していると考えられます。
ここ10年、アメリカやヨーロッパでは、農薬の害が広く知られるようになり、人々は安全な食を求めて行動を起こしています。しかし日本は後れを取っています。日本では加工食品には、遺伝子組み換えやゲノム編集などの表示の義務がなく、注意深く材料表を見て調べないと、知らず知らずのうちにそれらの食品を口にすることになります。
先日、おでんをつくったときあぶらあげが欲しくて買いに行くと、スーパーには国産大豆で使ったものは一つもなかったことがありました。それが常態化しているのです。日本人の国民食ともいえる、味噌、醤油、豆腐などの大豆食品のほとんどには、遺伝子組み換えの大豆が使われており、知らず知らずのうちに口にしてしまうことになります。


かつて、除草剤は人体への害はないと言われてきましたが、グリホサートの使用によって、糖尿病が増加すること、自閉症が増加することなどが立証されています。また農薬の使用は
たんぱく質を変質させ、精子の力を弱め、したがって子どもができにくくなっているという研究報告もあるそうです。


さて、お百姓さんたちによって、令和の百姓一揆が企画され、3月末の原宿でのトラクター行進を皮切りに、日本各地でシンポジウムを開かれます。農業従事者、生産物消費者、地方自治体などの連携で、一日も早く安産な食環境が整って欲しいものです。






 

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