2025年5月15日木曜日
蝙蝠入れ
なにかの拍子に、昔の紙焼きの写真をデジタルカメラで撮りなおしたものが目に入りました。
コウモリを入れるラタンの籠で、口を絞っているところはいかにもサラワクの籠らしいのですが、あまり見ることのない形の籠、小さくて真ん丸です。
1992年ごろ、サラワクに、伐採が進む熱帯多雨林に住む先住民の生活の変化と熱帯林の豊かさを知るというスタディーツアーの7名を引率してカヤン人の村を訪ねたことがありました。数日間滞在したのですが、森の中を案内していただいたときの写真です。
多雨林の中は、樹冠で覆われていて陽が届かないため、高い木々は下の方には枝も葉もつけてなくて、ただ柱が林立した感じ、とても歩きやすいのです。しかし、一人で歩けば方向を失ってあっというまに帰れなくなることは必至、土地の人の案内なしでは歩けません。そして、地形にはまったく変化がないように見えて、丘があったり川があったり、土地も肥沃だったり痩せていたりします。
自然にできた洞穴のところに差し掛かかったとき、2人の案内人は突然その中に飛び込んで、手を派手に動かして暴れました。するとコウモリがバタバタと落ちてきたので、それをつかまえて、この籠に入れたのです。
そして、火を熾してコウモリを焼いて食べさせてくれました。
小さいコウモリでしたが、タイやラオスで食べた田ネズミの肉に似ていて、美味でした。
サラワクの籠は口が縮まるようにつくってあるのが多いのですが、なるほど、こんな使い方をするためには、ピッタリでした。
追伸:
あれから1度、籠を預けてくれたWくんに会いました。
Wくんはすっかり大人びていて、結婚して新しい家族をつくっていました。籠を取りに来てねと言うと、「そのうち」と言っていたのですが、全然その気はないようで、サラワクの籠はいまだに我が家にあります。
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