2011年8月10日水曜日

キジ車とうずら車





二日ほど前、外から帰ると、我が家へと登る坂道に、うずらほどの大きさのキジの雛が四羽いました。
二羽は素早く山側斜面に植えてある、吉祥草を飛び超えて、林へと入って行きましたが、二羽が逃げられず、うろうろしています。

「待っていようか?」
と夫、
「大丈夫、いざとなったら飛ぶから」
と私。
車をゆっくり進めると、何度も吉祥草の方へ逃げようとしますが逃げられず、しばしパニック状態になりました。
坂道の中ほどで、やっと一羽が吉祥草をかき分けて登り、残った一羽も、どうにか飛んで行くことができました。

このあたりには、我が家の名狩り猫トラに加え、たけさんの茶トラ、ちよさんの白、Kさん&Jさんのハラとミュウ、それにどこから来ているのか、白に灰色模様の猫や、トラそっくりのキジ猫まで、たくさんの猫が徘徊しています。カラスもいれば、タヌキもいます。
なにもこんなところで子育てをしなくてもとと思いますが、キジは山でなく、人里に住むのが好きなようです。




そんなに人と親しいキジですが、おもちゃになっているのは、おもに九州地方に限られています。
江戸末に、福岡県みやま市(旧瀬高市)の清水寺でつくられはじめて、子育ての縁起物として、熊本や大分に広がりました。廃絶したのも含めると、30ヶ所くらいでキジ車がつくられていたのが確認されているそうです。

その、清水寺のキジ車です。雄雌があり、この鞍を置いている形は雄です。大きくて、味のあるキジ車です。




大分県北山田のキジ車です。バーナード・リーチに絶賛されたもので、シンプルで力強い形は、なにかヨーロッパの雰囲気を持っています。




大好きな、熊本県人吉のキジ車です。




いろいろなところで、キジ車が廃れてしまったなか、人吉ではニスを塗って退色しにくくしたり、小さいのをつくったりして、今でも盛んにつくられているようです。
小さいキジ車は、新しいもの(といっても30年ほど前のもの)で、長さが5センチほどです。




熊本県日奈久のキジ車です。日奈久は下駄の産地で、下駄づくりのさい切り落とした、桐の廃材でつくりはじめたのが最初だそうです。
学生時代に、日奈久を訪れて、板相撲やべんた人形とともに手に入れました。




うずら車は、何故か宮崎県だけでつくられました。
佐土原のうずら車は、頭を削りかけにしていないものなど、いろいろ持っていたはずですが、見当たりませんでした。




これもうずら車です。
彩色をしていないし、あまり見かけない形ですが、やはり佐土原で手に入れたものでしょうか。




この二羽は、郷土玩具というより、1960年代から盛んにつくられた、古いものをリメイクする運動で生み出されたものです。九州のものだと思いますが、どこでつくられたものか、忘れてしまいました。

当時、創作こけしのように、古い技術を生かしながら、新しい生活に似合うように、伝統的なものからアクを削ぎ落してつるんとした、いわゆるかわいいものが多くつくられました。サイズも、小さくなっています。

左はキジ車だと思いますが、右は何でしょうか?

一番下の新しい鳥車を除いては、どれも150年ものあいだ、子どもたちのおもちゃとして、親しまれてきたものです。



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